はじめまして?
皆さま、おはようございます。
昨日は醜態をさらし大変失礼いたしました。ですが、皆さまどうかどーうか、これだけは分かっていただけないでしょうか。
前世、享年28歳のさみしい人生を送っていたアラサー女子にとって、このよく分からない転生劇は正に晴天の霹靂。周りを見渡すと、ロココ調のアンティークばかりで、中世のヨーロッパ?貴族?のお屋敷って感じなのです。そんな部屋と、メイド服の女性たちが魔法なのでしょうか、いきなり目の前で使れてみてください。驚きでキャパオーバーになってしまったのも仕方ないと思いませんか?
バン!と、音がした。
「ふぇっ、ふぇっ、あぎゃー!」
誰に向かって訴えていたか分からないモノローグを呟いていた私はその音にビクッとなり、驚いて泣き出してしまった。
「「お嬢様!」」
ぎゃんぎゃんと泣き続けていると、昨日いた2人のメイドたちが慌てやって来た。
「え?アラン様?……ケイトさん、アラン様が……」
泣かせたことにショックで、呆然とドアの近くに立っていた少年がいた。
「アラン様、いかがされましたか?」
「・・・・」
アンナさんの問いになにも答えず、ケイトと呼ばれたもう一人のメイドは、アランの前に座り話しかけた。
「アラン様。赤ちゃんというのはとてもデリケートなものなのですよ。少しお嬢様も驚いてしまったのでしょうね」
「ケイト。僕は、シャルに会いたかっただけなんだ…。泣かせたくなんてなかったのに…」
アランと呼ばれた少年は泣きそうになりながら私の方を見ていた。
この少年は誰なのだろう?シャルってもしかして私の名前なのだろうか。疑問だらけのところに、またもや駆けつける小さな足音がした。今度はもう少し年上の2人の男の子達だ。
「「シャル!」」
「兄上、カミル・・・」
「どうしたんだ、アラン」
「クリストファー様。アラン様はお嬢様に早く会いたいかったそうで、ドアを勢いよく開けてしまい、その音に驚いてしまったお嬢様が泣いてしまわれたのです」
「なるほど。アラン、シャルがかわいいのは分かるし、会いたいのも分かる。今回のこともわざとではないのも分かる。けれど、僕たちはシャルを守ると誓っただろう?」
「はい」
「反省しているのであれば、次回から気をつけるように。そうしないとシャルに嫌われてしまうよ?」
クリストファーの言葉にショックを受けているようで、口をパクパクとアランはしていた。その顔が面白かったようで、カミルは下を向いていたが肩は震えていた。そんな3兄弟を2人のメイドはほほえましく見ていた。
―いいなぁ…
今まで味わったことのない『家族』に戸惑いながらも嬉しかった。くすぐったく、でも心地よい『家族』。前世では、欲しくても手にすることができなかったもの。神さまありがとうございます。
私は感謝しながら、大好きだよって言ってくれる兄たちの顔を見ながら、幸せな気持ちのままおやすみタイムに入っていった。
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