いじめられてた彼

バブみ道日丿宮組

お題:大きな悪 制限時間:15分

いじめられてた彼

 内なる武器を外に出すのは簡単だ。

 だが、それは悪にもなるし正義にもなる。

 今クラスで起きてるのはまさに悪。しかも大きい。

「……」

 いじめというカテゴリーにおそらく分類されるものだろう。

 なんとかしたいとは思うが、腕力の強い男子生徒には私は非力。助けに入ったとしてもすぐに抑え込まれてしまう。

 他の生徒に視線を送ってみても、男子生徒が皆怖いようで様子見をしてるばかりだ。

 なら、違った方法でいじめられてるこを助けようと、グループLINEではなしあった。1人が音声を取り、1人が映像を撮る。

 そして私は、内なる武器を発動させる。

 つまりは、言葉で介入する。

「そういうのやめてくれないかな?」

「あん? 俺たちがやってるのわからないのか?」

 極悪非道とはいわんが、映画でよく見る下っ端のような顔。彼を近くで見るのははじめてかもしれない。

「いじめでしょ? それいけないことだから」

「そういって、お前も加わりたいんだろ」

 ほらと突き出されたのは、可愛いともいえる男子生徒。

 女の子みたいだといじめを度々受けてた生徒だ。

「加わるわけないでしょ? もう限界なの。あなたたちが彼をいじめるのを見てるのわ」

「へぇ、じゃぁお前が変わりになってもらおうか? いっぱい揉んだり舐めさせてもらおうかな?」

 いやらしい目つきで私を品定めしてくる。

 気持ち悪い以外の感情がわかない。

「ぼ、僕は大丈夫だから、彼女には何もしないで」

 倒れてたいじめられてた男子生徒は私をかばうように前にでてくれた。

 ちょっと嬉しかった。

 こんな私でも庇ってくれる男の子がいるなんて思わなかった。

「じゃぁお望み通りくれてやるよ!」

 彼が殴られると、

「きゃ!?」

 私の方に吹っ飛んできて、机にぶつかった。

「いつつ……!」

 頭を思いっきりぶつけたみたいで、クラクラと視界が歪んだ。

「へへへ、これでお楽しみできそうだな」

 そういじめっこが近づいてきた時、

「何をしてる!」

 担任がかけつけてきた。

 黒板の方を見れば、グループLINEでいざとなったら教師に通報するという役目をしてくれたようだ。


 その後は、私にしてきたこと彼がされたことの証拠を見せられて退学処分となった。

 そして私はいじめられてた男の子と付き合うことになった。

「可愛い服! やっぱりいいわ! うん」

「そ、そうかな?」

 女装が凄く似合う。私よりもずっと。

「嫌だったら、やめるからいってよね?」

「大丈夫。君のことは誰よりも信頼してるし、心を奪われてるから」

「あ、あんまり恥ずかしいこと言わないでね!」

 彼の心にある武器は私を無防備にする。

 とてもずるい。

 なので、違うコスチュームに着替えてもらうことにした。

 

 2人でゴスロリファッションに着替えて、外を歩くと誰しもが男として彼をみないで可愛いという視線を向けてくる。

 彼は彼で少し嬉しそうに笑ってくれる。

「違う世界ってのもいいものだね」

「そう、そうそう!」

 噂できいた話だけど、退学したいじめっこは犯罪を犯し逮捕されたらしい。本当の悪になったみたい。

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いじめられてた彼 バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri

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