第19話 キャラと呼んではいけない理由
タイクツ、と言われたキャラは、かすみセンパイの手でメモ書きされて、ご丁寧にも顔イラスト付きで僕の目の前にある。
センパイはそれをひとつひとつ指差しながら、僕が徹夜で考えて、力の限り説明したキャラ設定を、たった一言ずつで斬って捨てた。
さらにご丁寧なことに、いちいち声色まで変えて。
羽佐間観(はざま かん):オクテな高校生。
紫藤悠里(しどう ゆうり):未来から来たアンドロイド。
小菅総一郎(こすげ そういちろう):観の悪友。おせっかい。
都築あきら(つづき あきら):観の幼馴染。気が強い。
五塚真吾(いつか しんご):担任。冷たいインテリ。
羽佐間均(はざま きん):観の父親。厳格。
羽佐間美好(はざま みよし):観の母親。ちゃらんぽらん。
器用なことに、老若男女、自由自在に演じ分けたセンパイは、いま声優のオーディション受けても一発で受かるんじゃないかって気がした。
思わず、僕は呻いた。
「すげ……」
それは、掛け値なしの本音だったのだが、かすみ先輩は聞いちゃいない。
むしろ、ご高評を不機嫌な調子で締めくくる。
「アンタが今、長々とくっちゃべった「キャラ」は、まとめると結局こういうこと」
反論しようとしたが、言われてみればその通りだった。そこで僕は素直に言った。
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