十二章 王都攻防戦 第五話
風竜国王都。王都攻防戦は既に十八日を数えた。サザーテの取った戦略は功を奏し、反乱軍の兵たちは暑さにやられ、士気は大きく下がっていた。対して城郭を守る国王軍の被害は少なく、反乱軍は無理に城郭を突破しようと無謀な作戦を続け、既に一万近くも兵を減らしていた。
反乱軍は王が馬人族を鎮圧し、帰還するまでに王都の制圧、そして、竜とその主の奪取を成し遂げねばならない。もし、達成できなければ、王都の一万と、帰還してくる二万の国王軍に挟み撃ちにされ、この反乱の中心人物であるゲラルフ、そして、同盟者のセス・カークラスは反逆罪で刑に処されることになる。王への反逆は、間違いなく死罪。その首を以て償う事となるだろう。
「セネイ! 貴様、何をたらたらとやっている!」
ゲラルフは遅々として進まぬ攻略戦に苛立ち、前線で指揮を取るセネイに苛立ちをぶつけた。
「だから、さっさとカタパルトを撃ちこんでおけばよかったのだ!」
「しかし、撃ち込もうにも、敵軍の鷲が見張りをきかせておりますゆえ……」
事実、セネイがカタパルトの準備をさせようとすると、見計らったように敵の鷲騎士が飛んでくる。こちらも味方の鷲達に守らせるので、それを壊されるまでには至らないが、準備を十分に妨害して引き上げていく。
こちらの鷲騎士は既に鷲も乗り手も酷暑にやられて疲れ切っており、特に鷲の疲労は濃かった。開戦当初、二百弱いた空騎兵のうち、使える兵は百二十にまで減っており、それらも疲労で相手の鷲の速さに追いつけない。
もし、この状態でカタパルトによる突入を強行しようとすれば、相手に本気で襲い掛かられ、悲惨な事になるだろう。しかし、もはや、それしか手がないのも事実だった。
ゲラルフは苛立ち、セネイは何かないかと考え、そうこうしていると、伝書を持って伝令がやってきた。
「ギサ様からご連絡でございます」
――ちっ、あの小賢しい妹のせいで
「読め」
ゲラルフはぶっきらぼうに言った。
「はっ。――オルダス侯ジャラド・ゲイの援軍を得る事に成功。明後日、鷲騎士百八十騎がそちらに到着する予定。奮戦されたし」
「なにっ!?」
それは喉から手が出るほど欲しいものだった。追加の百八十騎が来れば、現在の戦力と合わせて、計三百の航空部隊となる。敵の空騎兵の約三倍。それだけあれば、敵空騎兵からバリスタを守り、城郭の突破を図る事が出来る。城郭さえ突破できれば、後は兵の数がものを言う。
「よし。ならば、明後日まで戦力の温存に努めよ。援軍の到着を待ち、敵城郭を突破する」
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