あとがき

※このあとがきは本作公開当初、2021年7月に書いたものです。


 読者の皆様、作者のかっつんです。


『かの国にて竜翼は開く』第一部をお読みいただき、誠にありがとうございました。


投稿開始から二週間弱。正行の始まりの物語が終わり、一つの区切りがついたので、最後に私からもご挨拶させていただければ、と思い、この項を書く事にしました。



 この小説は、五月に執筆を開始し、六月末の新潮社の新人賞に送るつもりで書きました。

結局、間に合わなかったため、そちらには出さず、代わりにWebで公開する事にしたのですが、その時はここまで多くの方にお読みいただけるとは思っていませんでした。


 私の中で、Web小説の主流は、チート、ざまあ、ハーレムなどをキーワードにしたハイテンポな小説が流行だという認識があり、そういった要素に乏しいこの作品は、ほとんど見向きもされないだろうな、と思っていたためです。


この物語は、序盤から中盤まで、ゆっくりと進みます。

主人公正行は、第一章から大きな悲運、望まぬ転移に悩み、迷います。


テンポもテンションも、ずっと低い。


しかし、私はこれが重要だと思いました。


自分の事で悩まぬ人間が、他人の事で悩めるでしょうか?

他人の事で悩めぬ人間が、他人のために戦えるのでしょうか?


だから、あえて展開のスピードを落とし、正行の悩む姿を書き、あまり読まれないかもしれないと思いつつも、そのまま公開しました。



 しかし、公開してみると、意外な事に多くの方がこの物語を読み進めてくれている事に気づきました。


今は少し下がっているものの、一章 第一話を読んでくださった方の内、実に50%もの方がフォローしてくださり、最新話を公開すれば、即どなたかが読んで下さっているという状態でした。


途中でこの作品を知って、最新話まで一気読みしてくれた方も何人もおられました。


まだまだ、手に取っていただいた方は少ないとはいえ、いつも誰かが読んでくれている。その誰かはおそらく楽しみにしてくれている。その事に率直に感動を覚えました。



 近況ノートの方で、これは処女作であると書きましたが、正確には二作目にあたります。


一作目は、大学の課題で短編の提出を求められた時、数万文字程度の短編を書きました。内容は酷いもので、序盤、サスペンスとして始まります。


何者かに追われているかのような主人公、冷や汗をかきながら走り、何かを探す。しかし、見つからない。焦り、さらに走る。探す。時間がない――


このような描写を終盤まで続けた上で、最後に主人公が派手に脱糞し、彼が探していたのはトイレだったのだ――という話です。


本当にろくでもないですねw



 私はこの頃、大学で部活をやっており、選手権を控えていた時期でした。こんな忙しい時にめんどくさい課題出すんじゃねえよ!という怒りをぶつけるつもりで、この短編を書きあげたところ、意外な事にその教授から褒められました。


いつか、作品を書いて持ってきてください――そう言われたまま何年も経過し、コロナ禍で暇を持て余した私はそれを思い出し、今回の作品を書き上げたのです。


書いている途中、世の中には多くの新人賞がある事を知り、出してみようと思い至りました。


新潮社の賞を選んだのは、『六番目の小夜子』の恩田陸さん、『11人いる!』の萩尾望都さんが審査員を務めておられたからです。(私はこの二作のファンです。まだお読みでない方はぜひ^^)



 結局、これには間に合わなかったわけですが、いずれどこかの賞に応募してみたいと考えています。

できれば、書籍化したい。というか、アニメ化してほしいと考えているためです。


自分が生み出した竜たちが生き生きと飛ぶ姿を映像で見たいのです。


 この作品には、まだまだ足りないところがあります。他の作品の影響がところどころに垣間見え、描写力、表現力、さらに設定の独自性も足りない。序盤の速度に対して、終盤は逆に早すぎるきらいもある。Webで細切れにして投稿するという事を考慮して、終盤の描写をもっと濃くしてもよかったかもしれないという反省もあります。


 まだ完成度の低い本作ですが、それらを突き詰めて、作品として評価されうるものになった時には、アイトラや、フォティアや、まだ私の想像の中にいる竜たちの姿をこの目で見たい、そう考えています。



 そこで読者の皆さんにお願いがあります。


この作品が面白いと思っていただけた方は、ぜひカクヨムにレビューを書いてください。


どのキャラが好きか、どういう感情になったか、これから何を期待するか――


 書くのが苦手な方は、ただ一言、「面白い」だけでも良いのです。

それを見て、新たな読者さんが、この八頭の竜の世界に入ってきてくださると思います。


もし、この作品が出版に関わる方の目に留まれば、アイトラたちの姿を見る事が出来る日が、私が思っているよりも早く訪れるかもしれません。



 『かの国にて竜翼は開く』は、初期構想では三部作として生まれました。

最後、正行達の物語がどうなるのか、そこはもう決まっています。


今は、それに連なる第二部以降をどのように書こうかと構想しているところです。


正行達の今後、今作では描かれなかった風竜国の名もなき民衆、他国の人々、逃亡したギサの行方――


第二部を早く皆様にお見せできるよう、頑張ります。



最後に。


作品を書くにあたって、下読み、アドバイス、さらにはアイトラのイラストまで提供してくれた、我が友人しゅくたん、ありがとう。




作者より。






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