522 思いもよらず活写している。

今年の誕生日に、家族から『警視庁物語』DVDボックスをもらいまして。渋いなあ。


昭和30年代の映画で、だいたい60分の中篇作品が多い、刑事ドラマシリーズです。

参加監督に、のちにメタルヒーローや不思議コメディなどの特撮で有名になる名前がちらちら混ざっているのも感慨深い。


ヒーローになるような派手な人がいるわけでもなく、平凡な市民生活の中で起こる、凄惨な強盗殺人事件などを、いち公務員である刑事たちが地道に解決していくのですが、すごく面白いのです。

いつか全作見たかったので、嬉しいプレゼントでした。少しずつ楽しく見ています。


地道な捜査の中、けっこうすぐピストルが出てくるのが〈映画〉なのかな。それとも〈戦後〉なのでしょうか。

役者も見せてくれます。捜査中に登場する、小鳥がおみくじ引いてくれるおみくじ屋さんの潮健児とか、往生際の悪い山形勲とか最高ですな。←ちょっとネタバレ。


犯人も刑事も被害者も、野次馬も、聞き込み先の様々な職業の人も、ひとりの台詞が欠けても事件は解けないのです。


私の好きな〈モブのいないおはなし〉の、すごく洗練されたかたちをここに見ます。


〈市民生活〉が描かれてるので、令和の目でみると、電話も新聞記者たちも、バーの女の人やキャバレーの歌手、自動車、市内電車、花を売る子供、チンピラ、飛び交う隠語、みんな面白い。

理容室でワイシャツクリーニングもしてくれるところがあったの、知らなかったし、風俗描写(本来の意味ですよ)もいいです。


ここは製作者は狙っていなかった部分と思いますが、モブのいないドラマは世相も主役級の存在感を見せてくれるなあ。


最近、見たものの報告みたいになってますが、インプット中ということでご容赦ください。

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