523 「生き延びる」。
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読んで応援、あんまりできなかった。すみません。
インプットの時期に入ってしまい、見たり読んだりしています。
最近はこちらを読みました。
森村泰昌『生き延びるために芸術は必要か』
森村泰昌は、名画やポップアイコンとなった人々(マイケル・ジャクソンとか)に扮したセルフポートレート作品で知られる美術家です。
『着せかえ人間 第1号』面白かったなあ。
パンデミック、戦争の時代。
「不要不急」という言葉が飛び交い、休館を余儀なくされた美術館で、何年も準備を重ねてきたいくつもの美術展が、一度も人目にふれないまま予定の会期を終えました。
このような状況、はたして「芸術」はどうなるのでしょう。
話題は多岐にわたります。
彼自身ふれてきたSF作品。ゴヤ。自ら扮したことのあるベラスケス『ラス・メニーナス』。
コロナ禍の差し迫った時期にふれ、同じく差し迫っていたニューディール政策下のアメリカの美術家たちの動向、戦中戦後の松本竣介に思いをはせ、さらに明治画壇と『坂の上の雲』『金閣寺』と、広がり、エンタメのよさと芸術の役割を問い、「生き延びる」ことについて語られていきます。
〈生き延びるためには勇ましくあらねばならないのだろうか。それとも勇ましくなくてもゆるされるのだろうか。(p268)〉
ここで「生き延びる」ものは、なんでしょう。
本書は「これまで芸術が生き延びてきた背景」をいくつも取り上げていますが、通読すると、長い間「芸術が生き延びてきたことにより生き延びてきたもの」、が見えてくるように思いました。
〈極論をあえていわせていただくなら、美術であれ、文学であれ、なんであれ芸術というものには、山積する人類の難題を解決する力も、世界を牽引するつよいリーダーシップも、残念ながらそなわっていないと痛感する。(p278)〉
我々はエンタメを志向するイメージのあるカクヨムでひっそりと活動しておりますが、エンタメの意義を理解しつつ、この厳しい時代に芸術のすみっこにいることには変わりはありません。
〈生き延びるために芸術が必要なのではない。生き延びることができないもののために芸術は必要なのだと私は思う。(p279)〉
長くなりました。まだ私も感想がまとまりませんし、本書の扱う問題も誰も答えが出せていませんが、いろいろ刺さる本でした、と結論して、一旦締めたいと思います。
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