135 ラノベの挿し絵、とか。余話②
前回、氷室冴子先生のコバルトの表紙をたどって思い出したことがあります。
昭和の昔は、〈小説を読む人〉〈漫画を読む人〉は、別の層だと建前上されていた節があるなあ。
小説には〈小説っぽいイラスト〉が、表紙や挿絵につきました。アニメの原作になるような小説でも、骨太なかんじのイラストがついてました。朝日ソノラマ文庫とか。かっこいい。( ゚∀゚)
この〈小説っぽさ〉が、アニメ寄りのマンガ絵表紙が普通になった今、説明しにくいのですが、次の作品の表紙の変遷でなんとなく伝わるとよいなと思います。
新井素子先生のコバルト文庫『ブラック・キャット』のシリーズは、単行本の始まり(1984)から完結(2004)まで20年の期間がありまして。
結果、その表紙、挿絵をながめるとなんか面白いことになっています。
『ブラックキャット1』(1984)表紙:石関詠子 挿絵:山崎博海(新井素子研究会様によると、石関詠子挿絵の版も存在するらしいです。
http://motoken.na.coocan.jp/shoseki/novel/bcat1.html )
『ブラック・キャット(2) ナイト・フォーク』(1985)表紙:石関詠子 挿絵:山崎博海
『ブラック・キャット(3) キャスリング(前)』
(1994)表紙:四位広猫 挿絵:山崎博海
『ブラック・キャット(3) キャスリング(後)』
(1994)表紙:四位広猫 挿絵:山崎博海
『ブラック・キャット(4) チェックメイト(前)』
(2004年)表紙:四位広猫 挿絵:山崎博海
『ブラック・キャット(4) チェックメイト(後)』
(2004)表紙:四位広猫 挿絵:山崎博海
石関詠子先生の表紙絵は、昭和の大人向けミステリー小説な雰囲気で、山崎博海先生の挿絵ははじけて楽しい内容にぴったりの少女マンガの画風です。
1994年から、表紙も少女マンガ絵になって、並べると同じシリーズなの? となります。
これはなんだろう。
〈マンガっぽい楽しさがある少女小説の怪盗もの〉の、世間的なポジションの20年間の変化がわかる画風の違いなのかもしれません。
当時ご担当の方のおはなしを伺いたいところです。どこかで読めないかな。
昔はマンガっぽいエンタメ小説でも、〈小説!〉という体裁で書店には並んだのです。
というところで、またひとつ思い出したことがあります。
ちょっと横道にそれたものになりますけど、続きます。
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