第10話

 ショッピングモールでの自分の行動、言動を今一度考えてみた。


「ぐわぁぁぁぁあ!!! 何してんだよ僕!!!」


 ベッドにダイブして、ジタバタしながらもがいている。姉さんに抱きつかれて、色々と戸惑っていた中でのあの発言。『何を言ってんだ』って思う。


 心の中にあった、自分の欲求や思いを全部吐き出して、姉さんにキスされそうになってしまった。それ以前に、僕が応じるようにしてハグをしたのがいけないんだけど……。姉さんはそれでスイッチが入ったのだろう。僕だって姉さんに催促されなきゃ、あんなふうにはやっていない。結果的にやったんだから、何も言えない。


 でも姉さんの言ってる通り、バレなきゃハグとか色々してもいいと思った。その色々というのは、もちろんエッチなことも……。


 考えているだけで体の熱が爆上がりした。おそらく顔も赤くなっているであろう。エッチなこととか考えんなよ! 僕がしたいのはハグとかそういう優しいタイプのことなんだよ!


 しかし、何か特殊なことが起こらない限り、関係が義理であることは変わらない。血のつながりがない僕たちは、本当にエッチなことができてしまうのだ。


 さっきは恥ずかしさから体は熱を発したが、もう一度同じことを考えてみると、今度は怖くなってしまった。そういうことがバレた時のことを想像したのだ。ん? いや待てよ? これだと、なんか僕が姉さんとエッチしたいみたいに思われてしまうじゃないか。一応だけど想像、可能性の世界の話だ。いや、そんな可能性もな……くはないかな……。


 とりあえず、僕は今日の行動を反省していたのだ。その最中に姉さんが扉を開けて入ってきた。


「かーずくーん? 今日のデートはどうだった? 楽しかった?」

「楽しかったよ……。それと、ドキドキした……」

「ふーん。それってお姉ちゃんのせい?」

「そ、そうだよ!」

「うんうん! よしよし! ちゃんとお姉ちゃんのことを女の子として見ている証拠だね! お姉ちゃんは嬉しいよぉー!」

「ッ……。ボックスゲームの中でさ、姉さんが言ってたけど、バレなければ何してもいいって、それについてはたしかに僕も分かるんだ」

「うん……」

「でもその時に僕も言ったけど、僕がしたいのは姉さんとハグをするとか、一緒にいるっていうのだけであって、キスとかそこまでは行ってないんだ」


 姉さんは勝手に僕のベッドに潜り込み、頭だけ出して僕を無言で見つめている。僕はというと、勉強机に小説の設定用ノートを置き、プロットを考えていた。小さな椅子にペタンと座っている。


「あくまで今日のは小説のアイデアを膨らませるために行なったことにすぎないのさ。だからハグも、付き合いたてのカップルがするかなー、と思ってね。一緒にいたいとかも、そういうのを僕なりに考えて、それを小説にできるといいな程度に思っていたことなんだ」


 僕の悪い癖が出てしまっている。また誤魔化してしまった。


「つまりは……全部、小説のためだったの……?」


 シュンとする姿を見て、僕に与えられた使命感が増幅する。姉さんを絶対に泣かせてはならず、もっと笑顔にしなくてはならない、という使命である。前言を撤回しなければ!


「い、いや、小説のためでもあるけど、ほとんど僕の個人的な感情だよ! 本当は僕が姉さんに対してずっと思っていたことなんだ! だ、だから泣かないでよ!」

「ほ、ほんと……?」

「うん! ホント!」

「なら和くん! 今すぐにあの時の続きをしようよ! 和くんもお姉ちゃんとハグしたいんでしょ?」

「え、えと……」


 平静を保てるのか分からないけど、姉さんの言う通りにした。



 ****



「もう、和くんは甘えん坊さんなんだね……。いいよ、一緒に寝よっか……。お姉ちゃんの胸に顔を当てて、心地よくぐっすりと眠ってね……」

「まだ、寝ない……」

「そうなの……? あ、もしかして、もうちょっとだけこの状態でいるつもり?」

「うん……。ずっとぎゅーってしたい……」

「んふふ……。うん、分かった……」


 幸せってこういうことを言うのだろうか。今日のモールのことといい、今、布団の中で二人で横になっていることといい、和くんがお姉ちゃんに甘えるなんてすごく珍しかった。


「姉さん……。僕、ずっと……」


 すうすう、と私の匂いを嗅ぎながら、和くんは目を瞑りかけていた。可愛い顔。可愛い声。何もかもが可愛い和くん。本当に可愛い。


「うん……。お姉ちゃんはちゃんと和くんの言葉聞いてるよ……」

「僕、僕……」


 そこで和くんは寝てしまった。直前に言いそうになっていたのはなんだったんだろう。気になる。


 すやすやと気持ちよさそうに眠っている。寝顔も可愛い。


「和くん、おやすみ……。大好きだよぉ……」


 未だに胸に顔を当てている和くん。抱きしめているせいか、私の胸の一番敏感なところをたまたま和くんは手で触っていた。和くんが触ってくれているという幸福感から、何も手を加えずにその状態にしておいた。少し動くと擦れて気持ちよくなっていく。


 ムラムラしてきたためどうにか晴らそうと思い、自分のパンツの中に手を入れた。横にいる和くんの名前を呼びながら、数分で私は果てた。


 そして私はそのまま眠りについた。




———————————————————————




 クソほどどうでもいい話なのですが、カクヨムでログインが出来なくて、さらにパスワードを忘れてしまいめちゃくちゃ焦ってました。マジで垢BAN食らったかと思いましたぜ。


 あ、あとこれから朝投稿になるかもしれません。以上です。

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