第16話 小学二年生になって
異世界から現代日本に帰ってきて、何故か過去の自分に戻って。小学生から人生をやり直すことになった。あれから一年が過ぎて、俺は小学二年生になっていた。
順調に、小学生としての生活を満喫している。
学年が一つ上がり、クラスメートが半分ぐらい入れ替わっていた。今まで見かけたことはあるけど、話したことが一度も無いような子も多い。そんな彼らと、これから仲良くなっていきたい。
新たに知り合った子たちも巻き込んで、楽しいことに挑戦していきたいな。
一年生のときから変わらず、一緒になったクラスメートも居る。脩のことだ。彼は隣の席に座っていて、俺に話しかけてきた。
「さとる! 今日から二年生だぜ。ぜったい、がんばろうな!」
「え? あ、うん。頑張ろう」
何を頑張るのか分からないけれど、とりあえず頷いて返事しておいた。城生脩は、ニコニコと笑顔を浮かべて機嫌が良さそうだ。
「おはようございます、悟さん」
「おはよう、悟くん」
「ん? あぁ。おはよう、溝江さんに仲村さん」
おはようと挨拶してくれたのは、一年生のときから同じクラスだった溝江柚彩さんと仲村泉穂さん。
2人は、休み時間に俺が提案をする様々な遊びによく参加してくれていた。それがキッカケで、仲良くなった。
「また、おなじクラスになれて良かったね!」
仲村さんは、また一緒のクラスになれて良かったと喜んでいる。とても嬉しそう。元気な彼女を見ていると、俺もテンションが上がってくる。
「今日の休み時間は、何するの?」
「うーん、そうだなぁ。……まだ、考え中かな」
「そうなんだ。わかった」
溝江さんは、休み時間の予定について聞いてくる。しかし何も決めていないので、考え中だと答えておいた。それで納得してくれる彼女。
2人は、授業が始まる前に自分の席に移動した。
授業が始まるまで、休み時間の遊びについて考える。今度は、何をしようかな。
一年生の頃は、色々とやった。徒競走から始まって、大縄跳び、本気で鬼ごっこやドロケイで遊んで、秋頃には綱引きや玉入れ、リレーなどが流行った。学校で行った運動会がキッカケである。
冬になると再び、徒競走の流行りが復活する。皆でタイムを競い合った。全員が、その数ヶ月で色々な遊びを経験した結果、さらに速く走れるようになっていた。皆、小学校高学年に負けないぐらいの速さである。
そうこうしているうちに、二年生になっていた。今度は、何をして楽しもうかな。ちょっと挑戦してみたいことがあるので、次の休み時間に提案してみよう。先生にも事前に相談が必要かな。
「はーい。これから、授業を始めるから。静かにね」
「「「はい!」」」
一年生の時と同じ、田中先生が俺たちのクラスの担任を務めるようだ。チャイムが鳴って授業が始まった。授業内容は、まだまだ簡単。小学二年生向けの内容なので、当たり前か。
計算方法や理科の仕組みについては、大体覚えている。これから習う九九も当然、覚えていた。だが、国語の漢字や社会の暗記問題などは復習が必要だった。授業中や暇な時間に、たっぷり時間を使って復習しておく。
予習復習を何度も繰り返して、記憶にしっかりと定着させた。基礎となる知識を、しっかり固めておく。
今のうちから高校や大学受験も見据えて、じっくり時間をかけて準備しておこう。もしかしたら、中学受験という選択肢もあるかもしれない。
準備に入るにしては、小学二年生というのはちょっと早すぎる気もするが。いや、難関の中学受験をするような子は、もっと早くから勉強しているかも。
もちろん読書も続けている。学校の図書室で借りたり、井関のお爺さんの家にある本を借りたりして、習慣的に本を読んでいた。
井関のお爺さんの家には、一週間に一度ぐらいの頻度で遊びに行っている。それでかなり仲良くなった。
家に遊びに行くと毎回、とても美味しいお菓子を用意してくれる井関のお爺さん。誕生日にはブロックの玩具をプレゼントされて、正月にはお年玉をもらったりした。受け取るのを断ろうとすると、ものすごく悲しそうな目をされる。
だから俺は、掃除や洗濯など身の回りのお手伝いをして恩を返している。まだまだ全然、返しきれていない。
そんな感じで、井関のお爺さんとは良い信頼関係を築けていると思う。
「はい、みなさん。お疲れさまでした。給食当番は、準備して」
「「「はーい!」」」
午前の授業が終わって、給食の時間。お腹ペコペコである。最近、どんどん食欲が湧いてきた。毎食、自分でも驚くほどの量を食べている。そのおかげなのか、身長が徐々に伸びてきていた。体が成長している。
もしかすると、前よりも身長が大きくなるかもしれない。
前の俺が大人だった時、身長は170センチぐらいだった。今度は180センチを超える身長が欲しいな。いっぱい食べて、いっぱい運動や勉強して、いっぱい寝る、というような健康的な生活を送っているから、このまま順調に行けばもしかしたら。
今日も何度かおかわりをして、いっぱい食べて給食の時間を終わった。これから、昼休みの時間だ。クラスメートの皆を引き連れて、グラウンドへ飛び出ていく。
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