第5話 爆発オチって最低!
昔、オレは動画投稿サイトで剣術の動画を見た。
それは、女の子が藁で出来た的を居合で切り裂き、宙を舞っている方にもう一撃追撃を入れる物だ。
成功してぴょんぴょんする女の子の姿は、オレの心もぴょんぴょんさせた。
青山ブルーレットオクダケさんと一緒にコーヒーを飲んで執筆活動したいくらいだ。
その動画での剣先の動きは、素人ながら捉える事が出来た。
こう動いたのだなって、分かった。
何故、急にこんな事を話し始めたのか。
それは、目の前の勇者の斬撃というものが見えないからだ。
【最強】により、ダメージを負っていないが、その早過ぎる攻撃に対応できないし、攻撃できない。
勇者が疲れるまで戦うのも有りだが、そんな無策、勇者がする筈ない。そんな思考を持っておるのはチェーンソーを振り回すマンくらいだ。
必ず対策される。
「本当に丈夫なのだな」
勇者は何度も斬撃を喰らわし、感嘆の声を上げる。
刃こぼれ一つないその聖剣を構えて、再び消える。
デェレゲンボール視点ってやつか。
オレは、「なんなんだぁ?今のは?」ってムキムキポロリーと同じく、立っているだけなのだが。
ポロリーなら掴んで壁に叩きつけるのだろうな。
野菜の王子を。
オレは鬱陶しい勇者を捕まえられないでいる。
えぇーい、オレに足りないのは情熱、思想、理念、頭脳、気品、優雅さ、勤勉さ!
そして何よりもぉ!!速さが足りない!
ウジウジ考えていないで、思った瞬間に突っ走れ!
ありがとう兄貴!考えるより動け!
斬撃の感覚を感じた瞬間、そこに手を伸ばし掴む。
おお!刃が掴めた。【強靭】のお陰で無傷で掴める。
「なにっ!?」
「うぉー!ユナイテッドステイツオブスマッシュ!!」
ヒーローっぽい拳を喰らえ!!
【粉砕】のスキルを纏った拳が勇者の顔面を捉える。
勝った……。と思った。
しかし、相手は勇者であった。
彼の動きは変則的になり、ギリギリで交わされる。
チートコード使いました?血盟騎士団団長みたいな動きしましたよ?
からぶった拳が空を切り、その衝撃波が後方の木々を粉々に【粉砕】していった。
我ながら、こわぁ……。
「素晴らしいスキルだな……。しかし、厄介だ」
魔法陣がオレの下に生まれた。
【
オレと勇者の間に鎖ができる。
「なんだこれ」
「折角だ。種明かしをしてあげよう」
そういうと、勇者は斬撃を飛ばす。
オレに直撃した後。
『スキル【無敵】を発動します。【
なんて言うアナウンスが流れた。
何と言った?【無敵】が今後使用不可?え?
「これは、お前のスキルの使用を一回に制限する呪いだ。おれは代償としてこの鎖を持っていないといけないが、お前の攻撃は避けれるから問題ない。お前が幾つスキルを持っていようと、使えば使うほど減っていくぞ」
なんだ、そのご都合主義スキルは!
オレのためだけにあるスキルだな!
しかし、鎖で結ばれた距離は拳の間合い。
殴ればいつか……当たるか?先程の動き。
寧ろ、片手でもあの聖剣で斬られ続けてスキルを失う方がやばいのでは?
【強靭】も【最強】も一回きり。
受けれるダメージは二回。三回目は無い。
「ふん!」
『スキル【強靭】を発動します。【
丁寧なアナウンスが聞こえる。
そんな考え事をしていたら、早速斬られた。
【強靭】のスキルが使われてしまった。
「ふん!」
また来る!ここはしゃがんで避ける!
しかし、急に動くと足の腱が悲鳴を上げる。
こんなので【最強】は使わないでくれよ!!
何とか避けれたみたいだ。
しかし、どうする。どうにか隙を……?
しゃがんだ時に地面に落ちて鳴った鎖。
それを思いっきり引っ張ってみた。
「うぉ!」
突然引っ張られて勇者のバランスが崩れた。
いや、鎖が引っ張られるくらい予想しろよ……。
戦闘能力が上という油断をしていたのか。
しかし、攻撃のチャンス。
得意のパンチはしゃがんでいて無理だ。
どうする、どうする。そうだ!魔王軍のラガーマン。
「うおおおおお!!!タックルーーーーーー!!!!」
『スキルを【玉砕】を発動します。【
え?【玉砕】!?
オレのタックルが勇者に接触する時、大爆発が起こった。
どうやら、オレは【玉砕】したみたいだ。
爆発オチってサイテー!
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