エピローグ【大喝采】

 死んだらまた、女神のところへ行けるのだろうか。

 まさか、自分のスキルで死ぬとは思わなかった。

 【玉砕】それは大爆発のスキルだった。威力250かな?


「人間様!!」


 アニメ声が耳障りで目が覚めた。

 あれ?生きてる?


 オレが目を覚ますと、ゴブリンに囲まれていた。

 やめて!オレに乱暴する気でしょう?エロ同人みたいに!エロ同人みたいに!


 くそ!オレには【強靭】のスキルが無くなってしまったから感度を上げられたら耐えられないぞ!


「ありがとうございます!人間様!勇者を……勇者を打ち倒してくださったのですね」


 なに?振り返る。

 そこには真っ黒に焦げた人の形をした何かがあった。

 鳥の紋章が薄ら見えるから、勇者なのだろう。


 オレは衣服が吹き飛んでしまっていたが、体は無傷。

 そうか、【最強】が残っていたからか。


 全裸であるが、ゴブリンたちも全裸だから関係ない。

 ナイスですねぇ〜。


「倒したのか……?」

「はい!勇者は死にました。これで、世界の滅亡は無くなるでしょう」


 なんか、よく分からんけど勝ったぞ!

 勝利など突然やってくるのだ!計算した勝利など、戦闘素人に求めてはいけない!


「あなたこそ魔王だ!」

「そうだ!魔王だ!」


「魔王!魔王!魔王!魔王!」


 魔王!

 魔王!

 魔王!

 魔王!



 その場にいたゴブリンが皆叫ぶ。踊る。喜ぶ。

 それはもう、【大喝采】であった。


 スキル使用と関係あるか分からないが、ここまで狂ったようにゴブリンから歓声を貰える。

 これは【大喝采】であった。


 こうして、この世界は平和へと収束していく。

 人族は別の魔王により大陸を追い出され、他の2大陸にもその脅威が及ぶ。


 結局、小さな大陸に戻された人族は魔王たちの管理下に置かれ、二度と悪事を企てることができなくなった。


 オレが勇者を倒したからだ。

 今はとても気持ち悪いゴブリンに囲まれている。

 魔王から直々にお礼に来たこともあった。

 とてもグロテスクだった。

 エイリアンとかプレデターの類だった。


『そろそろ天界に帰るわよ!』


 そんな声が聞こえて、オレは天界に戻された。


 ◇


 全くもって身勝手な女神だと思った。

 行く時もいきなりで、戻る時もいきなりで。

 もっとゴブリンたちと国を作ったり、結ばれたり……。


 想像したら気持ち悪くなった。

 やっぱ、無しで。

 女神、ありがとう!戻してくれて。


「よくやったわ!これで一つ仕事が減った」


 なんて、相変わらず新世紀な赤い女性のポーズをしていた。


「どうだった?異世界」

「思ってたのと違う」

「ふん、異世界なんてこんなものよ」


 ちくせう、コイツ分かっててやってただろ。


「じゃあ次の仕事なんだけど、次は――」


 女神は何かを探しているのか、座っていた椅子の後ろにあった棚の下をゴソゴソ探し始める。

 次の仕事か。

 オレは次の異世界に旅立つ。

 これがオレの異世界転移の物語になるようだ。


 しかし、その前に、検証を。

 オレはゴソゴソ資料を探す女神のお尻に思いっきり、【粉砕】を纏わせた拳を叩きつける。


「うぉー!ユナイテッドステイツオブスマッシュ!!」

「ぎゃあああああああああ」


 オレの男女平等パンチが火を吹きた。

 女神も丈夫だったが、痔になって苦しんだらしい。

 くそせっかち、説明不足駄女神が!!



 ざまぁみろ。

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オレのスキルは【強靭】【無敵】【最強】それと【粉砕】【玉砕】【大喝采】だった件 満地 環 @monkidion

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