食べ巡り、今日のおいしいもの。

@Fandal_RMN

一箸目「とんかつ」

東京・某所

ある駅から外へ出るとメインの大通りとターミナルが一望できるのだが、ターミナルの向かいの雑居ビルにひっそりと店を構える「とんかつ専門店」

とんかつ定食が美味いと評判の老舗だ。


ごく普通の定食屋のスペースから漂うとんかつの香りが食欲を唆る。これは絶対にうまい。

既に食事についている客たちはとんかつに舌鼓を打っている。サクッと切る音がなんとも言えない。ああ、早く食べたいと急かしてくる。


カウンター席へつき、メニューに目を通す。

少し値は張るが、上ロース定食を頼むことにした。

上ロースの他にヒレ、棒ヒレや串カツがあるのだが全部は食べ切れないので次の楽しみにしておきたい。

待っている間のことだ。

目の前には長く務めているであろう職人が厨房で忙しなく動き回っている。何年もこうして多くの客人にとんかつを振る舞ってきたのだと思うと、感謝しきれない。

とんかつがより待ち遠しくなる。


そして、待つこと暫くするとついにとんかつと対面することができた。

程よい色合いの衣が美しいとんかつ、繊細さの伝わるとても細い千切りキャベツふわふわとしていてとんかつのお供には最高の相棒である。更にお味噌汁にふっくらと仕上がった白飯である。まさに王道の定食だ。

手を合わせて、「いただきます。」と一声。

作ってくださった店員と命に対し感謝を込める。

食事においてこれは私のルールである。


まずはとんかつから。

何もかけず、そのままの味わいを堪能する。

サクッ──。

心地よい音共に、歯で簡単に噛み切れる程に柔らか、ジューシーでとんかつ特有の旨味が口いっぱいに広がる。

美味い。

これはご飯が進んでしまう。


次に本来ソースとからしをかけるところだが、私は塩と七味をかけて頂く。

これは私の好みだ。

シンプルな味付けと七味の風味と辛さがとんかつには合うのだ。

そして、再びとんかつを口にする。


塩のしょっぱさが旨味を引き締め、七味の風味と辛さがより旨味を引き出す。

そして、千切りキャベツなのだがふんわりとした食感がとても良い。

揚げ物と一緒に取ることでとんかつを上手く引き立ててくれる。箸休めとして最高である。


心ゆくまでとんかつを堪能し、定食を食べ終えると程よい満腹感を得られ私は店を後にした。

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