第11話 はじまりの記憶

夢が醒める。夜が明ける。

もうすぐ現実が待ってる。

荒んだ家族、ヘトヘトな大学生活。


向き合いたくない。けれど、

君に助けてもらったこの命、

こんなところで散らすわけにはいかない。


もうじき、私の作戦はすべて成功して、

君は君の意思で私とお別れする。

私は嫌な女を演じきって、

そしてきっと前を向いて過去を捨てる。


楽しくてふわふわと幸せだった自分ごと。


君は覚えていてくれるだろうか。

忘れさせないから。

私はせめて、この罪を忘れさせてください。


アラームが鳴るまで、

その大きな腕に抱かれている夢を見させて。


君に振られるまでのあと数日だけ、

どうかこのままで。

永遠にさようなら、私の英雄さん。


またいつかーー。


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