第10話 幕間 n回目のプロポーズ

結婚しよう。

……うん。


このやり取りは、一体何回続くのだろう。

あと何十年やれば終わりが来るのだろう。

あと何人とやれば終了証書がもらえるのだろう。


幸せな家庭を知らずに育ったことは、

そんなにダメなことですか?

私は、家族が、怖い。


スタートで躓いたら全部アウト!

それがこの世の本質だ。

機会の平等なんてそもそも嘘っぱちだ。

生まれた家庭であらかた決まってる。


私の恋は永遠に実らず、

不毛に感じた彼らは去っていく。

君までも去っていくとは、それは想定外だったけれど。


憎まれっ子世に憚る、という。

好きで憎まれっ子に生まれたわけじゃない。

憎まれっ子に生まれちゃったから、憚るの。


「彼ら」が「真の幸せな結婚」を掴むのを、

常世から拝ませてもらいますよ。


あの薄気味悪い笑いが耳にこびりついている。

「俺は結婚出来たけど、兄貴には無理じゃないかな」

所詮、男性に、母親への愛以上のものなんて無いくせに。


どうせママへのパフォーマンスなんでしょう。

文字通りの醜い乳繰り合いに

私を付き合わせないで頂戴。


「ねえママ見て!

 ぼく、結婚して、子供作ったの!

 見て! すごいでしょ!

 ねえ、ママ!」

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