第6話 セリアンスロープ
食事でSPが70まで回復したのをステータス画面で確認、ひとまず余裕の出た俺は
後回しにしていたロバート達を回復魔法【
レベル80で覚える上位回復魔法【
派手な精霊魔法を使った後なので
サブスキル(と思われる)神聖魔法も高位呪文使えると知られると色々ややこしい事態になる。通常ひとつの系統の魔法を極めるには長い年数とそれ相当の資産持つ事を意味するからだ。それが
今の俺の外見は20代後半から30代前半に見える設定にしてあるから「魔法による若さ維持」と思われるなら良い方で「魔物が人に化けている」と噂されるのは困る。
PT全員の傷の治療と疲労回復した事で好感度が上がったのだろう
彼らは各々自己紹介をした
茶褐色の髪と瞳の盾持ち斧戦士のPTリーダーから
ロバート・ブラウン:
栗色の髪と翡翠色の瞳の少女、ロバートの幼馴染で今回死の淵を覗いた娘である
レナ・リュミエール:
この二人は種族:ひと(ヒューマン)である
わざわざ「ひと」と断りいれたのは勘の鋭い人なら察しがつくだろう、他の三名は
黒と白のもふもふとした毛の持ち主の二刀剣士の
ハンス・シュナイザー:
明るい赤茶色と白の毛に茶色の瞳、狐の風貌の射撃手の
ルーク・シュテッフェン:
白の体色に耳と鼻先がこげ茶色で青い瞳、地球で言うシャム猫カラーの
アイリス・ブラウ:神聖魔導士 Lv13 サブスキル:調理師
つまるところ彼等は
「森の国」の住民の七割が
残り三割は普人、機械人、不死人(冥族)等他国からの一時駐在員や旅行者、移住者である
ちなみに
冒険者として経験を積むとドックマン:リュカーオーン:ウェアベア、キャットピープル:ウェアタイガーなど外観や体質変化を起こす者も居る。
それはともかくとして俺が気になったのは
ゲームで言う戦闘職スキルと生産職スキルを同時収得している点だ
俺がプレイしていたゲームでは収得可能なスキルの枠は6つに限定されており
生産スキルを持っていることは冒険者として必然的に戦闘能力低下を意味する
俺は魔職だから例として純粋精霊魔道士のスキル構成を述べよう
【精霊魔法】【魔導】【詠唱】【瞑想】【法杖】【魔装】
この6つが初期設定でありそれぞれ「根源となる魔力の源」「魔法の威力」「呪文発動に要する時間短縮」「消費した魔力を回復する速度、魔力の総量の底上げ」「魔力発動制御(威力と範囲)」「対魔法戦闘に適応した防御と集中力補助機能」に対応している。
【魔装】は特定の植物素材と魚介油を原料とした衣服で魔導士はそれ以外は着用できない。
動物皮革や金属鎧を着用した者は『魔法戦士』と呼ばれるが
それはあくまで「魔法も使える戦士」であって、同じ魔法使用したとして魔法威力も呪文詠唱速度も本職には遥かに劣る。
俺の場合は【精霊魔法】【神聖魔法】の二つを収得する為【法杖】を捨てざるを得なかった。その為魔法のコントロールは純粋職に比べてかなりハンデを負う事となった。
もし、この世界がスキル選択6枠の縛りが無いとしたらこれから他のスキル収得できるチャンスが示された事となる。
「より強くなれる」と言うのも魅力だが、何より痛感した事
それは「生活スキル」である。
「採取」(有用植物の見分けや倒した獣の解体)「調理」この二つは是非取っておきたい
消し炭食う生活から早く脱却する為にも………
天を仰ぎ、拳を握り締めた俺を見て彼らがどう思ったか
その時の俺は気付くゆとりはなかった。
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「あの、あなたの事を話しては戴けないでしょうか?」
命を救ってもらった少女レナが感謝と好奇心の入り混じった瞳で聞いてきた
あ、そうだな、彼等の事聞くだけでこちらは依然「謎の魔法使い」だもんな
……どうしよう、「元ゲームプレイヤーで、現在ホームレスのプーです」と言ったらドン引きされるの確実だよな、意味不明だし
「この地から遠く離れた日本という国で暮らしていたのだが、今朝目覚めればどうした訳か気がついたら森の国の『精霊の祠ほこら』の前に立っていた」
「魔法は身につけていたがこの地のお金は所持してなかったので資金稼ぎと食材集めにこの森に入った」
うむ、身に降りかかった災難と言うのは嘘じゃないし、この世界でやっていくには掴んだ縁をうまく活かす方向にもって行くのが大事だ
見たところ仲間を見捨てるような薄情者は居ないように感じたしな
まぁ、俺をこれから仲間として受け入れてくれるかは不明だが
自分のレベルを現時点で彼らに明かすのは賭けとなるが隠しておくよりは正直に言った方が信頼関係築く第一歩だろう
「精霊魔法と神聖魔法を収得している、魔道士ウィザードレベルは120
名はベル・カッツェ(Bell=Katze)だ。」
英語と独語のちゃんぽんだか異世界で突っ込む奴は居ないだろう、たぶん
質問した少女だけじゃなくリーダー含めた他の連中の顔が引きつった
うーむ、名前の響きが某アニメの悪役キャラみたいでドン引きされたか
しかし彼らはプレイヤーじゃないから「おは○う忍者隊」は見て無い筈なんだが
「あ……凄い御方だったんですね、失礼しました」
あのアニメを知ってたのか、名前は似てるけどあんなに短気なキャラじゃないから怖がらないでね。
少し空気が微妙な感じになったので話題を変える
「まだ日暮れにはだいぶ時間有るけど、ここで狩り続けるかい、それとも場所変える?」
彼らのHPは全回復したし、俺が狩りに参加すれば討伐クエも難なくやれると思い
ここでの続きか他の場所でのボス戦闘やるかと誘ってみたのだが
「うちの魔女たちの魔力も心もとないのでね、家に帰るまでがクエストの本義だから」
そう言われると無理して狩りを続けようとは言えない、PTリーダーの意見は従わないとな
エーテル譲ろうかと軽い口調で水を向けたのだが、そんな高価なものは頂けないとやんわりと断られた
この会話で手持ちのアイテムを売却すれば当座の生活資金ひねり出せる、と気付き
彼らと一緒に街に帰る事にした
日が暮れる前にあれこれして置く事も思いついたしな。
街に戻って入り口のポータルを潜り、雑貨屋近くで別れる前に彼らの今後の予定聞いておく
冒険者協会にクエストの報告した後に各自別れて明日またクエスト受けに集まるとの事。一緒に行動して無いのかと意外に思ったが、そんなに親しくなったわけでもないので個人の事情とかは聞かないのが礼儀だろう。
それよりこちらの用事を片付けないとね
雑貨屋でハイポーションとハイエーテルを10本ずつ売却、店頭価格の半額で引き取るとの事、まぁ賞味期限とか有るだろうから良心的取引だろう、そう思いたい
べつに店主が狸の獣人だったからって疑ってないからなっ
それはともかくとして手にした資金は銀貨40枚
その足で冒険者協会に向かう、とりあえず登録しておかないとこれからの行動に不都合が生じるのは目に見えてるからな。
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