Raul the Dreamer

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> はじめ女房が聞きたがり、隣家の男が聞きたがり、家主から奉行まで聞きたがった夢の話。天狗はそのよぉなものは聞きとぉはないが、素町人なぞと申すものはどのよぉな馬鹿げた夢を見るものか、そのほぉが「しゃべりたいッ」と言ぅのならば……、聞ぃてやってもよいが。『天狗裁き(古典落語・桂米朝)』


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[Music: 夢の卵](https://www.youtube.com/watch?v=q-DAx8_LAjc&list=PLf_zekypDG5qBT4O0u7pO6N7__F1FPIYw&index=4)


「ねえ、貴方。お願い――起きて」


 不安気に覗き込む妻の顔が見えた。


 家のベッドで目が冷めた。無意識にオーバレイした時計を確認する。朝の9時を少し回ったくらい。下着が汗で濡れていた。


「びっくりしたわよ。貴方ったら、まったく起きなくて――だいぶうなされていたわよ」


「大丈夫――問題ないよ」


「そう。なら良かった。それでどんな夢を見たの?」


 ――夢?


 少し考えてから「夢なんて見てないよ」と答えた。妻は不満げに口を尖らせていた。


「そんなわけないでしょう。体をバタバタ動かしながら、『助けてくれ!』って酷かったのだから。ねえ、教えてよ。いいじゃない。どんな夢だったの?」


「もういいから!」とはっきりと拒絶した。


妻は驚いた表情を見せた。


「ごめんなさい」


「いやこっちこそ大声をだしてすまなかった。どうやら寝起きで機嫌が悪いみたいだ」


 妻を抱き寄せ、二人でベットにごろんと横になった。愛らしい顔が二の腕にちょんとのり、上目遣いで私を見つめる。


「でもおかしいわね。夢なんて見るのかしら――貴方はオートマトンなのにね」

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