第121話 そうだ、王都へ行こう! 16 次の駅を望む少年様


「これはここにいる私達の秘密、そういうことにしよう」




 ラビコが口に人差し指を当て、言う。


 俺、アプティも頷く。



 ロゼリィにも言うべきなんだろうが、せめて俺の心が落ち着いてからにしたい。






 個室のドアを叩く音。



「ラビコ様、お湯が出来たとのことですが……」


 ハイラが小さな声で言う。


 ああ、さっきラビコがロゼリィにお願いしていたな。



「ん、そうか。もういいぞ入っても」



「待て! 入るな!」



 ラビコは普通にロゼリィ達を部屋に入れようとしたが、俺は声を上げ抵抗する。


「なんだ? どうしたん……うわっ」


 俺は上半身裸のラビコを抱え、アプティのベッドに倒しこむ。



「んん~ヤりたくなったのか? いいぞ、なぁアプティ。今だけは手を取り合えるよなぁ?」


「はい……マスターの欲は私が受け止めます……」


 二人がベッドから手を伸ばしてくる。



「違うわ! 布団かぶれ! 誤解され……ちょ、手を離せ……うわっ」



 ラビコの胸は丸見え。


 俺は慌てて布団に押し込み、掛け布団を掛けて誤魔化すつもりが、むしろ悪い状態に。





「お湯持って来ました……よ……ひっ!!」



 部屋に入って来たロゼリィが絶句。


「う、うわ……やっぱりこういう関係だったのですか……ショックです……先ほどは感動するほど格好良かったのですが……」


 ハイラも落胆の顔。



 俺はベッドに横たわるラビコとアプティの胸に飛び込んだ少年の構図に。


 しかもラビコは胸に何もつけていない。


 俺の左右の顔に感じる感触の違う膨らみ。


 欲として顔を上げたくないのと、ロゼリィが怖いという想いが合わさり俺は動かず無言になる。




 もはや何も言うまい……堂々と受け入れようロゼリィの鬼の部分を……俺が悪いのだから。








 その後、アプティが紅茶を優雅に飲み、ラビコが笑いながら見る中、俺は朝まで正座コースでロゼリィの説教を受ける。



 ハイラはどうしていいか分からずウロウロしていた。ベスは爆睡。








「日の出か……美しいな」





 窓に差し込む太陽の光が眩しい。



 説教が続く中、俺は美しい自然の光景を旅先で見て思う……早く駅に着いて……。












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