第4話 龍ちゃん、安定を願う
プルルルルル……プルルルル……。
「んっ……。んんっ……。今日は……寝る……。日曜だし……」
プルルルル……プルルル………。
「あああ!!もおおお!!!うっせぇな!!うっせぇ、うっせぇ、うっせぇな!!誰だよ!!!!今日は日曜なんだよ!!寝るの邪魔するな!!」
着信。田村。
またおっさんじゃねぇか!!
毎週毎週、日曜日になったら連絡してきやがって!!
「もしもし……。おっさん、今日はもういいよ。先週、10万勝ったし」
「龍ちゃん。あれだけ大勝したんだから守りに入りたい気持ちはよく分かる。分かるぞ」
「おう、もう。気持ちが分かるんなら放っておいてくれよ」
「そんな龍ちゃんにぴったりの話がある」
「……あ?ぴったりな話?なんだよ」
「ボートレースに行かないか?」
「ボートレース?またギャンブルかよ。さすがにもう勝てねぇよ」
「ボートレースはな、一番勝つ確率が高いギャンブルだ」
「なんで?」
「ボートレースは、インコースが圧倒的に有利な競技だ。1号艇が1着になる確率は、50%。つまり1を頭にして買っていれば、勝つ確率が大幅に上がる。安定を望んでいる龍ちゃんに今、一番ぴったりなギャンブルだ」
「いや、そもそもギャンブルに行かなきゃ負けないだろ。今日は行かん。行かんぞ」
「そうか……。行かないか。それは残念だ。せっかくボートレース場の近くの居酒屋、鳥料理が安くて美味い良い店があるんだがな。残念だ」
「……………………」
結局……。来てしまった。
「よーし、龍ちゃん。早速、舟券買いに行こうぜ」
「1を頭にすればいいんだよな?」
「ああ。もちろん1が来ない事もあるが、1が圧倒的に有利なのは間違いない」
「じゃあ1-2で」
「龍ちゃん。2.3倍しかつかないぞ」
「いいんだ。それで。安定して勝てたらそれでいいんだ」
「全く……。この先週の競輪で10万円当ててから、守りに入った小さい男になりやがって」
「なんとでも言え」
ボートレースは、1日で12レース開催される。
12レース全て、1-2で買った俺は、半分の7回。
おっさんの言ったとおり、半分近くが1-2の結果になった。
結果として俺は、2000円勝つことができた。
「飯を食うなら2000円も勝てれば十分だ。2000円あれば結構食えるだろう」
「龍ちゃん、小さい男になってしまったな。つまらない男だ」
おっさんは、大穴を狙いすぎて負けた。
ずっとブツブツ言っていた。
そして今日は、焼き鳥、鳥ポン酢、若鳥のから揚げ、その他色々。
とにかくこれでもかと鳥料理と酒を満喫した。
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