第2話 龍ちゃん、初めてのパチンコ

ブルルルル……ブルルルル……。


「んっ……ああっ……。なんだよ、誰だよ。今日は日曜だぞ。……ったく誰だよ、休みの日に……」


あくびをしながら振動する携帯の画面を見る。

着信。田村。

んっ……?田村って誰だっけ……。

……ああ、思い出した。この間、飯代貸してやったおっさんか。

そういえば連絡先交換したっけな。


「はい。もしもし」

「おう、龍ちゃん。今から蕎麦屋の前まで来てくれ。11時に来れるか?」

「なんだよ。まさかまた蕎麦食ったけど財布ないから金貸してくれとか言うんじゃないだろうな?」

「ああ?何言ってんだよ。そうじゃねぇよ。とにかく11時に急いで来てくれ。待ってるからな」


俺が返事をする前に電話は切れた。

おいおい……。一体何なんだよ、もう……。


今日は休みだし、家でゴロゴロするつもりだったのによ……。

それからおっさんに断ろうと思い、何度も電話したが全く出ない。


「あー、マジかよ。出ねぇじゃねぇか。おっさん。しゃーねぇな。行くしかねぇか」


俺は面倒臭かったが、支度をして11時に蕎麦屋に行った。


「おーい、龍ちゃん。こっちだ、こっち!早く早く!急げよ!!」

「なんだよ、おっさん。急に呼び出して」

「いいからついてこい」

「はぁ!?」


おっさんは、蕎麦屋の正面にあるパチンコ屋に入っていった。


「いや、パチンコ屋かよ!!」


どうりで電話に出ないはずだ。

俺は初めてパチンコ屋に入った。


「うわっ!!音うるせっ!!」


そしておっさんについていくと、おっさんは一台のパチンコ台に座った。


「龍ちゃん。俺の右の台座って打て。今日はここの島がよく出てる」

「島?なんだよ、島って。いや、パチンコなんかやった事ないから分かんねえよ」

「金入れて玉貸し出しのボタン押して、ハンドル回すだけだ。簡単だ」

「ええ……」


俺は訳も分からないまま、おっさんに言われるがまま、初めてパチンコを打った。


「えーと、数字が3つ揃ったら当たりなんだよな?俺、それくらいの知識しかねぇぞ」

「それがわかりゃ十分だ。今日は出る。勝てる日だ。さあ稼ぐぞ!!」

「おいおい……。そんな都合よく――」


そう言っているうちに、俺は座ってすぐにリーチ!というパチンコ台から音が聞こえ、そして大当たりを引いた。777と数字が3つ揃った。


「うわっ、マジかよ!!ほんとに当たった!?」

「なっ?言ったとおりだろ?今日はこの島、よく出てる!勝てるって!!」


それから俺は、人生初パチンコで大連チャンして大勝した。


「いやー、勝った!勝った!今日は良い台見つけれてついてるぜ。なあ、龍ちゃん。今から安くて美味い居酒屋で一杯やらねぇか?」

「まあいいか。パチンコも勝った事だしな。行くか」

「そうこなくっちゃ」


俺はおっさんに連れられて、居酒屋に行って飯と酒を食いまくった。


「くー!美味い!!ギャンブルで勝って勝った金で美味い飯を食う。最高だろ?」

「まあ……今日はおっさんのおかげで楽しかった。パチンコも初めての経験だったしな」

「だろ?また行こうや」


こうして俺は、今まではギャンブルなんてやった事がなかったのに、おっさんに影響されてギャンブルにハマッていく事になる。

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