第3話 初めてのご祝儀

 また私は東風戦雀荘で麻雀を打っている。店員さんとも顔見知りになれた。あとは麻雀の成績がよければもう何も言うことなし。しかし、二位一回、三位四回、四位三回。と、トップどころかご祝儀すらもまだです。このご祝儀とやらは、ポンとか鳴かずにパイを集めないともらえないらしい。うーん、他の男性客は打つのもリーチも速すぎる。私は鳴き麻雀を打っているために、ご祝儀は入らない。辛すぎる、ゲームが進むごとに受付でチップに替えに行くのは。うーん。


「お姉さん、普段は仕事は何をしているの?」


「アハハ、ヒミツです☆」


 おいおい、私は無職だぞ。それなのに、平日の昼間から雀荘で麻雀を打つなんて。両親にバレたら、と思うとなんだか申し訳ない気分。うーん、赤青ドラの手だけど、ここは鳴こうかな?


「ポン!」


「あ、今切ったパイでロンです。お姉さん、ついてないね?」


 ちくしょう。いい感じなのに振ってしまった。


「それじゃ、店員の自分が代打ちに入りますね」


 え? 店員? 代打ち? なんだか強そうだ。うーん、東一局から麻雀が再開始。今日だけで何回打ったかしら? それにしても、ついてないね私。いかん、頭をリセットしよう。


「ポン」


 店員の代打ちが早くも鳴く。うーん、狙いはなんだろう? あれ? 気付けば、私の手に赤青ドラが二つずつ? お? これはリーチですか?


「チー」


 店員の代打ちは食い上がりかなぁ? あ、テンパイだ! よっしゃ! リーチじゃい!


「代打ちが入って、お姉さんの流れかな? これを切るか!」


「あー☆ ロンです☆ えーと、赤赤青青で、えーとえーと? ご祝儀はいくらですかね?」


「おいおい、点棒じゃなくてご祝儀の話が先かい?」


 ドッ。笑い声が雀荘に響きわたる。私も笑っている。うーん、これは初めてのご祝儀ですね? 点棒とチップが入ってホクホクニヤニヤです私☆


 それから、私はこの雀荘で初めてのトップも取れた。店員の代打ちの鳴く流れで私はどんどんいいパイが入っている。いかん、ニヤニヤしているのが自分でもわかる私☆


 それから、友だちのなっちゃんに電話でトップが取れたことを報告した。おめでとう、って言ってもらって、私はありがとうと返した。


 やったー☆ と叫びたいのを必死で抑えて、私は自宅に帰って行く。


 あの店員の代打ちのおかげかなぁ?


 うーん? まあ、いっか☆


続く

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