第211話ナレッジ大公領の騎士団長
ミラの呪いから解き放たれたナレッジ大公領では、騎士団が出来ていた。
ミラの呪いが解けた事で、突然どこからかわらわらと現れた領民達の中から、剣の才能がある若者達を抜擢し、騎士団に入隊させ、今現在育てている途中でもある。
そして王都からはナレッジ大公領の騎士団長に憧れている正規の騎士達が、是非入隊したいと沢山押し掛けて来た為、ナレッジ大公領の騎士団は経った数年でそこら辺の大領地にも負けない程の騎士団となっていた。
まあ、ニーナがいる時点で領地の守りは万全なのだが、流石にニーナだけでは何か緊急な事があった時に対応するのは無理がある。
第一、ニーナはいずれ貴族学園に通い、その後は研究に尽力を注ぎたいと思っている。
そんなニーナが一人でナレッジ大公領を守り続けることなど、大好きな研究の妨げでしかない。
何よりナレッジ大公領には、国中の騎士が憧れる人物がいる。
そうその憧れの騎士の一人であるアルホンヌこそ、ナレッジ大公領の騎士団長、その人だ。
甘いマスクに立派な体躯。
剣を振れば敵うものはいないと言われる程の実力者。
女性にはとてもモテるのだが、お付き合いを始めると何故か直ぐに振られてしまう残念さがある。
だが、アルホンヌこそ男の中の男だと、男性からは絶大な人気を誇る金の騎士。
幼いころからニーナに鍛え上げられ、そしてこのナレッジ大公領にてまた死ごかれ続けたアルホンヌは、もう人間とは思えない程の騎士となっていた。
ナレッジ大公領の騎士団長、それは死ごき部のキャプテンでもある。
つまり、ニーナ教官の死ごきに耐えられるだけの実力者。
アルホンヌもまたニーナの手によって成長していたのだった。
「おまえ達ーーーーーっ! その程度の実力ではニーナ様の死ごきには耐えられ無いぞ! もっと力をつけろ!」
「「「「「おー!」」」」」
「お前達、なんだその鈍い動きは、遅い、遅すぎるぞー! もっと素早く動くんだー!」
「「「「「おー!」」」」」
「お前達、剣の振りが甘いぞー! それではドラゴンはいつまでたっても倒せはしないぞ! ナレッジ大公領の騎士団の名を名乗るならば、ドラゴンを一人で倒せるだけの実力を持て! そうでなければニーナ様のご家族は誰一人として守ることは出来ないぞー!」
「「「「「おー!」」」」」
有り余るナレッジ大公領の土地を改良した騎士訓練場では、騎士団長であるアルホンヌの檄が飛んでいる。
カカシくん事、騎士訓練用の魔道具は、勿論この訓練場に運び込まれ、騎士たちを相手に暴れまくっている。
そしてダンクから譲り受けた、人懐っこい人形魔道具のプルースも、この訓練場にアルホンヌと毎日来ては、上に伸びる自慢の赤髪を振り回し、「ケタケタケター」と楽しそうに笑いながら訓練に参加し、騎士達を鍛える為に一役立っていた。
ナレッジ大公領の騎士団員皆の目標は、己一人でもドラゴンを倒せるようになる事。
ハッキリ言って、そんな人間がわんさか集まる騎士団など、国にとっては脅威でしかないのだが、ナレッジ大公家の可愛い子供達が、「ドラゴンさんに会いたい」「ドラゴンさんを食べてみたい」とそんな可愛い夢を持っている為、あの可愛いお子様方を守る為には力を付けなければ! と、騎士団員皆に気合いが入っているのだった。
あの可愛い子達は俺達が守る!
あの可愛い子達を傷けさせるものか!
あの可愛い子達を絶対に危険な目に合わせなどしない!
と騎士達皆はそんな気合いを入れて訓練をしているのだが、そもそもその目標こそが間違えている事に、残念ながら彼らは誰も気がついていない。
そう、ナレッジ大公家の子供たち三人は半端なく強いのだ。
物理的にも勿論強いのだが、メンタルなんて最強だ。
長男で成長期真っ只中のディオンは、師匠のアルホンヌに負けない程の剣技をすでに身に付けている。
今のディオンならばドラゴンにも負けることは無いだろう。
そして長女シェリー。
シェリーの風魔法は既に一級品。
王城の魔導士団長だってシェリーの魔法に勝てるか分からない。
ドラゴンが好きで好きで好き過ぎて、ドラゴンさんと一緒にあの輝く星空を自由に飛びまわる為に、シェリーは知らず知らずのうちにドラゴン並みの飛行を手にしていた。
そして末娘のニーナ。
もう彼女は守るとかそういうレベルの話ではない。
そう、魔王とか神とかそんなレベルの少女だ。
幼い女の子扱いをするどころか、人間扱いするのも難しいレベルとなっている。
凶悪なドラゴンでさえ今のニーナに会ったとしたら、尻尾を巻いて逃げ出すだろうと一部の者たちには思われているのだが、鬼教官ニーナに死ごかれているはずのナレッジ大公領の騎士団メンバーたちは、そんなニーナの可愛い見た目に騙されてなのか? はたまたアルホンヌにそっくりな脳筋だからなのか?
幼いニーナを含め、シェリーやディオンの事までも、自分達が守らなければならない相手だと思い込んでしまっているのだ。
ニーナ的には自分がいずれナレッジ大公家から居なくなり、ニーナ研究所に引きこもったとしても、ナレッジ大公家の家族をしっかり守ってくれる騎士が欲しいと彼らを鍛えているだけなのだが、彼らは可愛すぎるニーナ教官と、シェリーやディオンを含めたナレッジ大公家の三兄姉妹に今や骨抜きなメロメロ状態なのだった。
そしてその上、騎士団の主となる領主のエリクと、その夫人であるアルマは、この世のものとは思えない程の輝きを放ってしまっている。
そう、つまり眩しい存在であるエリクとアルマは、ナレッジ大公領の騎士たち皆が剣と盾として、命を捧げる主としてこの上ない程の人物なのだ。
騎士団員皆が『この命に代えても守り抜く!』と、その胸の内で勝手に盛り上がるのも致し方がないこと。
そう、そのお陰でこのナレッジ大公領の騎士団は、もう間もなくこの世界で有名な騎士団となり、その実力から恐れられて行くことになる。
ナレッジ大公領騎士団。
またの名を、ナレッジ大公家熱狂的ファンクラブ。
騎士団長である金の騎士アルホンヌに鍛え上げれた彼らが、リチュオル国で名を馳せるのは、もう間もなくのことなのだった。
「おまえ達ー! ナレッジ大公家に剣を捧げるぞー!」
「「「「「おー!」」」」」
ナレッジ大公領騎士団の訓練は、今日も過激に続く……
☆☆☆
こんばんは、白猫なおです。(=^・^=)
今日はアルホンヌのお話ですが……ほぼ騎士団の話になってしまいました。そしてちょっと短めです。済みません。宜しくお願いします。
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