第9話

電車で隣に座る男女の会話が気になる。


大学生くらいの男女

仲良さそうに会話をしているのだけど、ふと耳をすませたら心の中のつっこみが抑えられなくなった。


以下、「私」は心の中の声。


男「結構背高いでしょ」

女「そかな165センチくらい。何センチ?」

男「175か6」

私(これは172か3)

男「199くらいがよかったなー」

私(中途半端やなあ)

女「えー逆にキモいよ」

男「いーじゃんそういう誰とも違う感じ」

 「原宿とか歩いてるとさーモヒカンの人とかまじカッコいいって思うんだよねー」

私(え?モヒカン?原宿に?199センチとそこ同じ?)

女「すればいーじゃん」

男「似合わないんだよー」

私(似合う人なんているの?というか人と違うのがいいんじゃないの?)

女「ていうか原宿とか行くんだね」

男「行く行く」

女「えー裏原?」

男「そー・・・うらはらうらはら」

私(ぜったい違うな、裏原にはモヒカンいない)


男「今さあ教習所通ってて。学科もーすぐ終わるけど、運転がマジ12月まで予約取れないんだよねー」

女「あーそーなんだ、免許簡単な方?難しい方

?」

男「簡単な方マニュアルマニュアル」

私(それ難しい方じゃない?)

女「へーそーなんだ次教習所いついくの?」

男「来週かな、運転するやつ」

私(え?12月まで予約取れないんじゃ?)


男「普段家で何してるの?」

女「映画とか見てる」

男「へえ、邦画?洋画?」

女「洋画だね オーシャンズとか」

男「あー11(ジュウイチ)とかいうやつね」

私(んーそこはイレブンって言って欲しい)

女「あとチャーリーズエンジェルとか」

男「あーあの女の子4.5人のやつね」

私(んー3人かなー)


ってところで彼の降りる駅になり

男「じゃ、またどこかで会えたら」


と、全く振り返りもせずに降りて行った。


私(え?ナンパ?知り合いじゃないの?)


どーいう関係????と私の心は叫んでいた!


***********


今日のお客様 カーチス様


課長から「ほとんど日本語ができないお客様なので対応お願いします」

と英語の一問一答のような手作りのマニュアルを渡される。


ご来店ありがとうございます。

Thank you for coming


2階に上がってください。

Please go up to the second floor.


少しお待ちください。

please wait a moment


このくらい分かりそうなものだが、咄嗟になると出てこないだろうし実際話したことがないので、相棒の武田さんと焦って練習しながらカーチス様を待っていた。


そして、約束の時間にあらわれたカーチス様は…


ニイハオの方だった。


とりあえず身振り手振りと日本語オンリーで2階まで案内し、待っててくださいと目で訴えてデスクに戻り課長に「カーチス様いらっしゃいました。」とだけ伝え、武田さんと「えー思ってたのと違うのが来たね〜」とわーきゃーしていた。


しばらくして課長が降りてきて事務所のある5階に内線をかけ「中国語話せる人いませんかー?」と要請していた。


不動産屋もグローバル教育が必須の時代です!


私(そもそも予約は何語だったんだろう)

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