光を。
覚悟を決めたからって生き残るってわけじゃないけど。
生き残る為に闘って、生き残ってもしゃーないけど。
俺の中に毒があって、ははは。
勝利。
そんな生き方、推奨するかい?
どこまでも愚かなら、切り捨てて、死んでしまえよ。
僕は歩く。ヒトが進むほうへ。
歩けば気づく。時々、ヒトが同じように進んでいる。
私は期待をしない。
何を求めているんだ。
私は光を求めている。
沼を求めていない。
ふぅっと一息つきたい。
しかし愚かさを感じれば、私は恥ずかしい。
マリーゴールド。
一息つこう。
疲労だ。
夜が来る。
灰色が青く染まる。
群青の夜。
私は灰色に横となる。
キラキラと赤い星が瞬く。
おっとせい。
無駄な言葉が頭の中に浮かぶ。
うつろうつろ。
眠っていく。
夢を見る。
私は走り続ける。
何にも追われていない。
脚が痛い。
心がない。
走っている。
無我夢中に。
前も横もなく、私だけを見つめている。
走り続ける。
夢もなく。
希望もなく。
走り続ける。
涙を流していた。
私は眠りながら泣いていた。
立てない。
動けない。
金縛りだ。
朝が来た。
灰色の空だ。
私は歩みたいが、難しい。
動かない。
言葉がない。
人を失った。
私には私しかいない。
誰もいらなかった。
生活も文化も社会も家族も友人も音楽も絵画も小説も詩も恋愛も何もいらなかった。
私は私だけと生きている。
命を守ろうと必死だった。
今は何を求めているのか。
何かと出会うたびにくだらない。無駄だ。
何をとおざけようとするのか。
誰かが嫌いだ。
他人が嫌いだ。
しかし誰かに愛されたい。愛して欲しい。
何故私は愛しないか。
愛したくないのか。
踊ってる。誰かが。
昔の話だ。
皆踊っていく。
私は少し離れて踊りを無言で見つめていた。
勝手にしていろ。
そのように嘲笑って。
私は何もない。できない。
そのような人間。
いつのまにか身体が動けるようになった。
私は歩む。
進む。
そうして。
辿り着く。
皆が目指した場所へ。
何か祭りがあったような暖かい空気が漂う。
光の跡地。
クレーターのように大きく大地が抉られている。
しかし、ヒトはいない。
もう終わったあとだ。
何かがここで起こり、終わったのだ、
肩を掴まれる。振り返る。
高山で暮らしているような叔父さんだ。
「もう何もかも終わった。期待するな」
「ここで何があったんですか」
叔父さんはシニカルに笑う。
「最後の人類の踊りだ。三日三晩踊り続けて、最後は燃え尽きて、炎を燃やしてみんなで燃えて、身体の中に植えつけていたバクダンが爆発し、全員死んだ」
ヒトがやってくる。ヒトビトとなる。彼らは無情な顔でクレーターをぼーと眺めている。
「人類は終わったんだよ。もう何もない」
「何故そう言い切るんですか」
叔父さんはぽけーとした顔で私を見る。
「あのダンスはそういうダンスだったのさ。もう終わりさ。見事だった」
「いやね。私たちは人ではないと。そんなこと言わせませんよ」
「私たちに一体何ができるというんです。見てください。今ここに集まってきたやつなんてろくでなしだ。他人の光により縋って動くことはできるが、自分から何かできるやつなんてここにはいない。墓場ですよ。これは。」
「その通りかもしれない。しかし、私は生きている。貴方だってそうだ。死んでいない。生きているんだ。生き抜くんだ」
叔父さんは笑う。
「頑張ってください。私も寿命を全うしますが、しかし。私の言葉に二言はありません。人類は終わったんだよ。間違いなく。」
私たちの会話を黙って聴いているヒトビト。
希望とは何か。
縋るとは何か。
死を選んだもの、選んでいないもの。
私はまだ生きていて、死んでいないのだから。
生きることを選び続けたい。
私は誰にも期待しない。
クレーターから離れていく。
誰も私を呼び止めない。
何をしていくのか。何の灯りも灯らない。
私自身が光とならなければ。
光だ。
こすれ。
うなれ。
生きていけ。
光を築くしかない。
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