完成しない。続かないから。

無明を恥じますかね?

恥ますよ。僕は。

赤いライト。

赤いグラス。

赤い液体。

赤い僕。

赤いきみ。

どれが正しいんですかね。

僕はすべてを忘れていた。

きみ。黄身。君。

どれが正しい表記なんだい。

僕は僕の名前も忘れてしまった。

此処はどこだい。

誰も教えてくれない。

誰も知らない。分からない。

この感覚を知らない。発露していないから。

正しさを何に準拠させるのか。常に惑う質問だ。

誰も何処へも行けない。答えは見つからない。

一人の女と男が死んだ。

一人の男は死んでいる。


モンアムール


モンアムール。


僕は文学と眠りに囲まれている。

札付きと呼ばれたら悲しむか。僕は。

わからない。

真実は誰かが持っているのか。いや、時間だけだ。何の答えも誰も求めていない。真実に答えはない。

やさしさに答えがある。思いやること。それが人間の美徳だ。

美徳。

尽くしたいもの、こととは何か。

まだわたしには何も見えていない。

冬の窓。雪も降らない土地。枯れた木と灰色の大地を走り回る少年。小さなボールに行路を委ねている。

何処かへ出かけるよりも一人で暖かいスープを口に含むことの方が有意義だ。

人よりも数冊の本が好きだ。

誰も近づくな。とんでもない勘違いはいらない。

何もいらない。

死すらも。

鳥が飛んでいる。

灰色の空。

雲。

完成している。

誰かの絵画のように。

何もない。

「はい?

はい?

はい?

なんです?

えっ?

いや。

はい。

知りませんよ」

全ては独り言。

答えてほしくない。

答えはいらない。

生活。

あぁ。

生活。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る