星
室内で空を見上げれば雪が積もる。
雪はどんどんとひどくなっている。
彼女は雪に全てが覆われることを望んでいるように思えた。自身の心象世界そのままに雪に潰されて生命を消失する。女の心が反映されているのか。
身動きが出来なくなる前に私は選択を迫られている。彼女は穏やかに想いに寄り添っている。私は彼女の心の中にはいない。私という星は穏やかに燃えていた。何やこれではなく、そのままに。
「どんどん雪は強くなる。私たちのことなど知ることもなく降る」
女は私の言葉に気づかない。彼女は想いに耽ることが多い。言葉など届かないときもある。互いにどれほど相手を見ているか疑問ではあるのだが。
少し前に女の過去を聴いた。女は五感を閉じて、口を閉じた。女にとって過去は暴力でしかないのに全てを閉ざした。
何を求めようとは思わない。求められたら私は差し出す。私も口を閉ざしている。どれほど過去が私を捌くか。
空も見えない。星が見えない。雪が積もる。
そのときピンときた。私は星や空をみられないというのなら、現状を容易く裏切ることができる。私を認められないものに尽くす縁はない。
女自身が悪いわけではない。女が愛する雪が私の生存本能をぬるぬると覆い隠すというなら悪いとは思うが、私はピリオドを打つ。
女は私の葛藤の外側で尚も耽っている。私は答えを容易く伝えれるか不安だ。伝達という回路を著しく停滞させているから。逃避を行使して何もかも無かったことにしようと心がけるから。
(mon amour)
愛。呼吸。
彼女の為の世界。
彼女は彼女を愛するために生きている。
私は私を愛するために生きている。
互いに星として宇宙にキラキラ輝くように私たちは生きている。
真の幸せとは何か。ただ生きることに答えがあるのかもしれない。
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