愛できない人
全ては夢のように星がシナプスが破裂し瞬くように別れる。
人はどなたも一刃のナイフを創成できる。人は周りだけではなく自分を消費する。限りなく短い時間の中で無限と有限を何度も照らし合わせながら誤解と欺瞞に気分を陶酔させながら、もうすでに遅いと首を横に振る。
私は未だに女のもとにいる。離れる理由がなかった。私にとって今はこれ以上ない。これからは今から産まれるのだ。
女は実に渦巻いていた。彼女は何者でもあり、何者でもなかった。日々によって色彩が変わる。想いが変わる。人間が変わる。彼女の身体以外に真相はなかった。
もう一つある。彼女の名前だ。
mon amour.
女の呼称。
貴方を愛します。
私はその意味を知ったとき動けなかった。何故この女はここまでに瞬きを持つことが出来るのか。一見何の価値もない蝋人形に見える時もある。それなのに女は誰よりも深海から光り輝く世界を見つめられる。その所作が、ああ言葉が出ない。美しいとは違う。尊いも違う。語彙が足りない。彼女を表現する言葉を持ち合わせていない。
そんな女とも別れなくてはならない。人生は突如始まるからこそ、永遠などあり得ないのだ。永遠とは留まること。留まるとは動き続けること。我々が動作に嫉妬をする理由。それは最も永遠に近い天国への階段に対するたった一つの冴えた方法だからである。そしてそれは今の時点で恐らく破壊される為にしか解釈されない。
女と永遠を誓うということは女を連続的に愛すること。いつまでも今で女を愛すること。気まぐれに任せて人は生きているから、その過程で出逢った愛を留まらずして愛することは不可能だ。されど今まで出逢えなかったからこそ、明日は別れることも当然なのだ。
明日愛する為に今日、愛せないものを愛しようと誤魔化すことはお前を殺すということだ。誰よりも誠実でいたい。自分自身のために貴方自身に。
誠実だからこそ不義理になってしまう。本当に明日貴方を愛するために、私は今日貴方を殺さなければならない。愛に生きるとは倫理の超越した感覚。だからこそ、人はただ生きていく、自分に都合良く。そうでなければ感覚が失われる憂き目にあうから。
未来に橋渡ししてまで、貴方は何をするの。この愛を手離してまで何をつかもうとするの。それは天秤にかけたとき絶対に傾くほどの重力差があるの。
「しかしこれが俺の選択なのだ」
孤独に星を眺めながら、自分自身に伝わるように私は呟く。意味など後からついてくる。自分が何を選んだかで私という肉体の価値が分かる。人と人が居る。私は生命体として星のような深みと瞬きを持ち合わせた詩人として生きていられるような関係を望む。女と私を釣り合わせたとき。空の星だ。星も私を見ている。星は今この瞬間、ないかもしれない。それでも私は星に陶酔できるのだ。此れも現実である。
雪と時間。何があったのか。何もなかった。いやあった。温かいと思う心だ。
人は印象から何かを掴む。思い込みと呼ばれる類。しかし妄想が人の運命を左右する。道を選ぶプロセスとなる。行為はそう多くはない。多くても二つか三つだ。
私は彼女から温かみを貰い、旅立つのだ。
私の人生が始まるのだ。
この地の果てから。彼女から。
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