第50話 鳥羽の告白
「で、話ってなんだよ。もしかして告白か?」
鳥羽は見るからに怪訝そうな顔をする。確かに舞台は前の告白の時と似ているかもしれないな。
「告白、確かにそうかもな」
「え!?」
鳥羽は目を見張り照れた表情をする。何照れてんだよ気持ち悪い。
「ただ、告白するのは俺じゃなくてお前だ。心当たりはないか?」
「ないな。というか何を言ってん……」
「ミステリーに必要なものはなんだ?ラブコメには『転』が必要だ。だがそれ以上にミステリーに必要なものがあるんだが。なにかわかるか?」
相手の言葉を遮って強気に言い切ると、鳥羽はとぼけた表情から一変して真面目な顔になると、口角を軽く上げる。
「解決編、だな」
それを聞いて俺も口角を上げる。教室にニヤニヤしてる男子生徒二人。第三者から見たら異常な空間だろう。
「いつ気がついた?」
「お前が『リア充成り上がり系のラノベでも読んだのか?最近そういう系流行ってきてるし』って言った時から疑いはしてたね」
「まじかぁ。確か最初に南船橋で会った時だったけ?早いなぁ」
やれやれ、とおどけて言うセリフには関心も込められているように聞こえた。
「そもそもオタクじゃない奴が最近のラノベの傾向なんて知るわけないよな。もっとも、お前がオタクだからなんだって話だけど。でも今回はあまりにも出来すぎてたんだよ」
「でもそれだけで?」
「ロープ」
その単語を口に出すと、鳥羽がほんの一瞬だけビクッと震えたのがわかった。
図星のようだ。
「東雲家に行くのが決まったのは、俺とひかりんがデートした日で、東雲家に実際に行ったのはそのすぐあとだろ?一日二日でロープを用意してかつ、周りの目を盗んであのロープが張れるとは思えない」
「頑張れば張れるかもよ?」
「もし仮に張れたとしても。ここ最近は晴れ続きだ。『雨風に晒されて少し汚れたロープ』があるわけがないんだよ。どっかのおさがり?それにしてはくたびれてなくて、新しすぎだ」
ここまで言うと鳥羽は諦めたようにため息を吐く。
「そこまで言われたら仕方ない……そうだね。じゃあ一から話すとしますか――」
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