第11話 初スタバ
「おい、ちょっと待て」
なんの
「なんでスタバなんだよ。今日は俺の服を買うために……」
「んー?デートの練習でしょ?」
口角を上げ、嗜虐的な笑みを浮かべる。なんというかその姿はクールな悪キャラみたいで、まるで見るものを洗脳するような……いや、なに冷静に観察してるんだ俺。
鳥羽は止まろうともせず、そのままレジへと向かう。
「おー、並んでないな。ラッキー!店員さんダークモカチップフラペチーノ、エスプレッソショット追加のチョコチップ増量をトールで」
――とばはじゅもんをとなえた!
トッ、とーる?ダーク?長い闇?何その厨二心揺さぶる感じ。技名で叫びたい。てか何リア充みんな魔法の詠唱できるの。来たことないからてっきりみんな「アイスティーガムシロつきで!」とか言ってんのかと思ってた。全国のリア充さんすいませんでした。
「月瀬もなんか頼めって、ほら、メニュー前にあるぞ」
既に注文を終えた鳥羽はダークなんとかが出来るのを待っている。
……まぁたしかに店の中入っちゃったからにはなんか注文しないとな。
注文しようとメニューを見て、そこにアイスティーがあるのに気がつく。おー、俺の偏見は間違ってなかったのか。よし、他は分からないからこれにしよう。そもそもカプチーノとか多分人生で一度も飲んだことない。
「えー、と、アイスティーのスモールお願いします」
上手く言えたか!これが俺の精一杯だ。
しかし、鳥羽がぶふぉっと笑った。あれ?またオレ何かやっちゃいました?
店員さんは眉ひとつ動かさず、にこーと答える。
「ショートでよろしかったでしょうか?」
え……あーショートね。Sって書いてあったらスモールだと思うじゃん……。なんだこの初見殺し。
押し寄せてくる羞恥心に負けず、何とか自我を保って答える。
「あ……は、はいそれで」
「はい、アイスティーですね。パッションとブラックどちらになさりますか?」
パッションとブラック……なんの違いがあるのか分からないがブラックは苦そうなのでパッションにする
「えーと、パッションで」
「かしこまりました。カスタムはどうなさいますか?」
「か、カスタム?」
その後困難の末、カスタムはせずになんとかアイスティーを購入することが出来たのだった。スタバマジパネェっす。
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