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「ねえヨーコさん。アサちゃんは何で僕をあの部屋に住ませたんでしょう」

「そうねえ。見つかっちゃったから」

「見つかったんですか」

「タイミングがよかったのよ」

「タイミングですか」

「親戚ではないんでしょう」

「違います。最初にヨーコさんに会ったときはそうゆうことにしましたけど」

「てゆうか、親戚かってきいてきたのはヨーコさんのほうですよ。僕はうなずいただけで」

「そうだよね。でも、あの時も本当に親戚だとは思ってなかったの。そのほうがいいかなって思っただけで」

「気を使ってくれたんですね」

「探してはいたみたい」

「何をですか」

「同居人」

「どうして」

「それはね、あたしもぼんやりとしかわからないんだけど」

「何かをはじめようとしていることはまちがいない」

アパートの近くの立ち飲み屋。思いのほか繁盛している。

入れ代わり立ち代わり人が入ってくる。

じっくり飲むような場所ではないのだろう。店の外で飲んでいる人もいる。

「この辺は労働者が多いからね」

作業着のヨーコさんはすっかりまわりに溶け込んでいる。

「仕事した方がいいんですかね」

「それはあなたしだい」

「ですよね」

「何か感じるの」

「何となくですけれど」

「あたしのところ来る」

ヨーコさんがニヤリと笑う。

「雑用する人がいないのよ。前はおかみさんがやってたんだけど」

「あの工房ですか」

「師匠も気に入ったみたい」

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