第3話 始まりの悲劇3
森の中で、追手の目が見えなくなった時。
子供だけなら気の影に隠れて逃げることが出来る道があった。
「貴方達はこの道を真っ直ぐ行って。森を抜けたらバールメラという城下町に付くわ」
どういう経緯かなのか、逃げる先を伝えるマーベラ。
「母さん、どうしてそこに」
「その城下町は私が行くことは出来ないけど貴方達二人なら行って、助けを求めることが出来る」
「母上は何で一緒にいけないのですか」
マーベラは二人を強く抱き締めた。
「ごめんね、私は生まれてくる貴方達の事を考えてなくて。きっとこれは私とお父さんに化せられた罰」
「母さん。何を言って」
「だけど貴方達には何も罪もないわ、そしてこの世に生を受けた以上は何があっても生きていかないといけない。これから辛いことが沢山起きるだろうけど、優しい心をもって強く生きて」
マーベラは2人に元気でねと言い残して再び走り出した。
「いたぞ、女だ」
「ガキがいないぞ」
「気にするなこの森にはモンスターが出る。あの年齢のガキならモンスターのエサになるだろう」
「とにかく女を殺せ」
追手の狙いがマーベラに向けられる。
自らを犠牲にして追手の目を子供達に向けさせないようにしたのだ。
ガランとグルズの2人は母親の言いつけ通りバールメラ城下町へと向かう。
両親がどうなったのか見てないが、あの20人以上の追手の数を相手にしているだ。
結果は子供の二人でも分かりきっている。
親からもらったばかりの剣を持ち追手から必死に逃げる。
そこに何があるか分からない。でも、もし僅かな可能性だとしても両親を助けることができれば。
そう思いながら2人は急いだ。
だけどその願いは叶わず、衝撃的な現実を見せつけられた。
逃げようとした先で馬に乗った追手の兵が近くを横切った。
その時は木の影で隠れて見つからなかったものの、兵士達が持っていたのは物は、さっきまで笑顔で誕生日を祝ってくれた親2人の亡骸。
肩の下から切断されてしまった頭部だ。
「う、うわぁあぁああぁ」
「グルズ、落ち着け」
「いたぞ、悪魔のガキだ」
「捕まえろ、絶対に逃がすんじゃねぇ」
「ち、見つかった」
親の亡骸を見て叫んでしまったグルズ。
そのせいで居場所がばれてしまい、追手の兵は2人に剣を向けて襲いかかる。
「逃げるぞ、父さん達の分まで俺たちは生きるんだ」
肉体強化の魔法をかけて二人は生きるために走り出した。
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