第1話 始まりの悲劇1
モンスターの力を得た人間である魔人と、精霊の力を得た人間である聖人。
その2国が争われる世界に戦争から逃げるように建てられた一軒家があった。
その家は2国の領地に関わって無いところに建てられており父と母、そして双子の少年たちが暮らしていた。
その少年達は自分と血の繋がった人間以外に会ったことがないまま、8歳の誕生日を迎える。
「二人とも誕生日おめでとう。今年も何事もなく誕生日を迎えられて良かった」
少年の片方の名前はガラン、双子の弟の名はグルズ。片時も離れたことがない仲良し兄弟だ。
父親である、デルタに誕生日プレゼントを貰い、各自のプレゼントを同時に開ける双子達。
「父さんありがとう。かっこいい剣」
「僕も剣だ、でもガランの剣の方が良かった」
「羨ましいのかグルズ。でも交換はしないぞ俺はこっちの方がいい」
「羨ましいな」
プレゼントの中身は実戦で使える子供の丈にあった剣。
2つとも同じ性能で同じデザインだが違うのがグルズの鞘が赤でガランが青色。
男の子だから赤より青の方が好まれる。
「ハハハ、気にするなグルズ。剣の性能に違いはない。その内慣れるさ。寧ろ赤の方がカッコいいと思うときが来るかもしれないぞ」
「そうよグルズ。その剣は鍛治やで二人のために特注した世界で2つだけの剣なのよ。それに鞘の紋章のしたに名前が書いてあるでしょ」
母親のマーベラに言われて2人は自分の持っている鞘の紋章の下を見た。
「本当だ。僕の名前が書いてある」
「あ、俺のもだ」
「お前たちももう八歳だからな。自分の剣を持ってもいい年だ。それとなその剣は持ち主の丈に合うように魔法がかけてあるから成長しても一生使えることができるぞ」
「すごい。そんな剣があるんだ」
「ありがとう。父上」
「こらこら、私たち二人で決めたのにお父さんだけお礼をいうの貴方たちは」
「母上もありがとう」
「一生大事にするよ母さん」
この家で剣を持っていたのは父親であるデルタだけで自分の剣を持てなかった。
それがようやく自分の剣を持てるようになった2人にとって最高の誕生日プレゼントだった。
「だからと言って2人で剣の稽古に使ったら駄目ですからね。稽古は今まで通りに木刀を使いなさい。そうしないと剣は取り上げますから」
マーベラの言葉に2人は「はい」と言って頷いた。
そんな幸せな空間、最高の誕生日がこれから不幸な誕生日になるなんて家族の誰1人として予想はしていなかった。
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