第3話 ハンバーガー会議
もし、ハンバーガー店に男子1名女子2名が同じテーブルで話をしながら食事をしていたらどう思うだろうか。あの人モテているとか色んな想像をするだろう。
が、現実はそんなものではない。
ここにいるのは一般人の僕と、魔法使いの2人が今後について話し合っているからだ。
流行りの曲が流れているのと、それぞれ会話をしているため僕らの話は聞こえないだろう。
「で、2人は魔法使いで、その両方をみた僕は2人から『監視対象』されることになったと・・・」
「まあ、そうね」
「吉岡先輩すみません。面倒な事になっちゃって」
「おかげで、同級生からも後輩からもアプローチされてるモテ男って言われてるんだけどね」
「そんな事気にしなくていいのよ、噂話なんてほっとけばいいじゃないの」
「僕は何も言われないけど、2人は何か言われたりしないの?」
「私は、ちょっとお友達にいわれるかな?ちょっと困ってます」
「私に言ってくるしつこい奴は、記憶を消しているから大丈夫よ」
浅海さんは人差し指を立ててクルクル魔法を使うような仕草をする。
「それ大丈夫じゃないよね?!」
浅海さんに記憶を消された人は何人いるんだろうか、気にしたら負けと思い忘れる事にする。
「ユウトじゃあ思い切って、モテ男アピールしようよ!」
「え?」
「来週の日曜日、私とユウトとマユミで遊園地に行こうよ。そして明日教室でアピールするの」
「え?」
「香織先輩・・・それ吉岡先輩に迷惑じゃないですか?余計に誤解が生まれるんじゃ・・・」
「噂じゃなくて、本当にモテ男になっちゃえば誰にも言われなくなるわよ」
「え?」
浅海さんは何を言っているんだ??ワケガワカラナイヨ。
しばらく思考が止まったが我に返る。
「いやいや!本当にしてどうするの?それにわざわざ遊園地に行く必要ないでしょ。僕と行っても楽しくないでしょ?」
「そんな事無いわよ、ユウトと居るの最近楽しいし。あと、『監視対象』だから休日は家の前で張り込んでいるの暇だから」
「え?」
今なんて言った?家の前で張り込み???
「そんな顔しないでよ、ユウトとには迷惑かけないから」
「いや、『監視対象』ってそこまでするの?沖さんもそうなの?!」
すると、沖さんは恥ずかしそうに頷く。
「はい、吉岡先輩すみません。でも家の中までは覗いてないので大丈夫です。2人ともその能力はないですから」
「・・・その能力があったら、僕覗かれてるの?」
「そうよ、残念だわ覗けないの」
「え?それってプライバシーの侵害だよね?!」
「ねぇ、ユウトって『え?』って言い過ぎじゃない?」
「いや!言いたくなるよ?!」
「だから、一緒に遊園地に行って気晴らししましょ」
満面の笑みで浅海さんは誘ってくる。
「はぁ、わかったよ。じゃあ来週みんなで遊園地に行こうか?」
すると、沖さんはニッコリと鞄からチケットを3枚取り出した。
「もう既に購入済みなの?!」
「すみません、吉岡先輩。つい楽しみで買っちゃいました」
はぁ、と僕はため息をつく。
「じゃあ、お昼休みの教室でサプライズで誘うからビックリしてね!ユウト!」
「もうそれって、サプライズじゃ無いと思うけど・・・」
そんな話をしながら食べたハンバーガーの味は全く覚えていなかった
魔法がとける前に 飯田橋諭 @satosi_iidabasi
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。魔法がとける前にの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます