第1話 君から最初に貰ったもの

昨日のとんでもない出来事があったのでよく眠れていない。

あくびをすると、友人の近藤直也(こんどう なおや)が肩をポンと叩く。

「佑都ねむそうだな、さては今日の課題徹夜で終わらせただろ?」

「いや、昨日はバイトだったから、もう既に終わらせたから別件だよ」

「偉い!そんな優秀な佑都に頼みがある!」

「まさか・・・」

「写させてくれ!メロンパンでどうだ?」

「またか、はいはい、それで手を打とう」

「よし、交渉成立!」

直也はいつもこんな感じだ、一緒にいて飽きないからいいんだけどね。

「あ、私もいいかな?」

突然女子の声がする、その方向を見ると浅海さんが居る。

「私もまだなんだー、ナオヤの後でいいから見せてくれないかな?」

気さくな浅海さんは特に接点がなくても誰にでもこんな感じで声をかける。

直也と浅海さんはそこそこ教室で話したりしているけど、僕とは特に接点は無かった。

「まあ、いいけど」

「ありがとうユウト、じゃあ私はメロンソーダでどう?」

「よし!決まりだな!今日の佑都の昼飯はメロンパンにメロンソーダ!特別にデザートにメロンをつけてあげよう!」

「いじめかよ!」

3人で笑う。

「ユウト助かったわ、昨日は忙しくて課題出来なかったから」

おいおい、空飛んで忙しかったのか?という思いは伏せておいた・・・

朝に渡した課題のノートは直也から浅海さんへと、そして昼に戻ってきた、

「はい、ユウトありがとう、そしてこれが報酬よ」

浅海さんはメロンパンとコーヒー牛乳を僕の前に置いた。さすがにメロンジュースはネタだったか、

「ねえ、ユウトそれ持って屋上行こうよ」

なんとなく察しは付いた、昨日の事を話すのだろう。

「いいよ、じゃあ行こうか」


屋上は解放されていて、僕らと同じように点々と人がお昼ご飯を食べている。フェンスが高く設置されていて落ちる事がないからという理由で下校時刻まで開けているのだ。

みんなとは離れた場所に、浅海さんと座る。

「昨日の事だよね・・・」

僕は話を切り出す。

「そうね、ユウトがなんで魔法が効かないのがわからないけど、特殊な人間のようね」

「特殊?」

「そう、昨日も言ったけど『大魔法使い様』が魔法を使っても忘れなかった人がいたけど、その中の子孫なのかしら?」

「あ、そんな事を行っていたね」

「とにかく、ユウトには秘密にして欲しいの」

「喋る気は無いし、言っても誰も信じないよきっと」

「ありがとう、お礼に何かあったら助けるから、あと・・・」

「あと?」

「これから数か月、ユウトは『監視対象』となるから」

「『監視対象』?!」

「そう、「言わない」って言ったけど形としてユウトが言わない様にしばらくは近くにいるから」

「えーめんどくさいなぁ」

「まあ、形だけだから気にしないでね」

「気になるんだけど?!絶対に」


「まあ、嫌だって言っても、監視されるんだから聞きたいんだけど」

「なにかしら?」

「浅海さんって魔法で空飛ぶ時ってホウキを使わないの?あと何が出来るの?」

「ホウキは使わないわよ、それこそ『物語の空想』から生まれたものよ、あと出来る事は、『記憶の消去』忘れさせることが出来るわ、記憶操作まではできないけどね」

「あとは?」

「ひ・み・つ、必要になったら教えるわね」

そこで昼休み終了のチャイムが鳴る僕たちは教室へ戻る。


そして授業が終わり帰ろうとすると、浅海さんがやってきて

「ユウト!一緒に帰るわよ」

クラスメイトがざわつく、

それはそうだ昨日までほとんど接点が無い二人が一緒に帰ろうとしているからだ。


僕は小声で、

「監視対象だから?」と聞く、浅海さんが小さく頷く。

僕の小声はクラスメイトには聞こえていない。

「さあ、帰るわよ」

浅海さんは僕の袖をつかんで教室から出る形になった。


ああ、なにか変なことに巻き込まれたな。

これからの展開に不安がよぎりため息をついた。

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