第二節の3 『花のあすか組!NEO』

●『花のあすか組! NEO』(〇六)GPミュージアムソフト


 DVDが初見だが、冒頭オリジナルビデオの予告が延々と流れる。制作会社がオリジナルビデオの会社だ、ということらしいが、この作品は、単館上映とはいえ、劇場公開されている*。脚本・小谷暢亮、監督・編集・CG・釣田泰。

 で、映画の出来だが、簡単には勧め難い。少女同士の闘いという点では、次の章で触れる映画版や、小高恵美版テレビ版に比べると、かなり原作に近い設定になっているのだが、世界観がこぢんまりとしていて、あまりカタルシスが得られない。また、リアルな不良に近づけてしまったことも、作品に華がない一因となっている。全共闘の話が出てくることの違和感や*、あすかが第三者的な立場にいて、闘う理由が薄いような人物配置もどうかとは思う。

 ただ、高山侑子のあすかには、捨てがたいクールな魅力が見受けられる。他の役者もいいショットがあり、キャラクターを見る分には悪くない。また、これが大事なところだが、よけいなラブシーンや「心の和む」シーンなどはなく、ひたすら事件を追って(または巻きこまれて)闘う少女たちの群像劇の尖り具合は、充分に評価できる。

 高山侑子は、その後、『仮面ライダーウィザード』で、刑事役を好演した。


【注】


*単館上映――最近では、オリジナルビデオ作品でも、「箔をつけるため」こういう上映を行なうことがあるようだ。

*全共闘の話――露天商の男(寺門ジモン)があすかに語るのだが、年齢上、無理がある。しかも、その話がなんの役にも立っていない。


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