第一節の4 『モーニング刑事。』及び『メイド刑事』
●『モーニング刑事。抱いてHOLD ON ME!』(九八年三月~)
ここでは、『刑事』は「コップ」と呼ばれるらしい。
モーニング娘。と、主演の平家みちよの所属するハロープロジェクト(ハロプロ)のミニライヴと同時に上映された短篇映画。脚本・鷲見市子、監督・今関あきよし。
すでに忘れられかけている話だが、平家みちよはアイドル発掘番組『ASAYAN』で、九七年、つんくプロデュースでデビューしたものの、あっという間に、同番組の落選者で結成されたモーニング娘。に追い越され、現在は、ハロプロを離れて個人活動をしているということだ。この映画では、まだ平家みちよが主役を務めている。
読者モデルとして人気絶頂の平家の許に、怪しいプレゼントが届き、ストーカーも現われたため、平家はモデルを辞める、と言うのだが、同じくモデル仲間のモーニング娘。たちは、平家を救うため、トレーニングを開始して、平家の身辺を守る。結局、犯人はマネージャーの宝樹(?)*だと分かり、絶体絶命の娘たちの前に、「秋葉原の帝王」という謎の人物が現われて、助けてくれて話は終わり。
その間、アクションらしいアクション、ストーリーらしいストーリーは一切なく、娘たちは刑事らしいことを一切せず、ぎゃあぎゃあ言いながら走り回っているだけ。もう少し丁寧に語るべきかもしれないが、本書全体のバランスから見て、この程度の説明で充分かと思われる。
*宝樹(?)――名前を書いた記録がなかったので、音に合わせておいた。
●『メイド刑事』(〇六年六月~九月)東映・テレビ朝日
この作品に触れるかどうかためらったが、『スケバン刑事』の子ども、ということで、載せてみた。福田沙紀主演の、少女刑事のバリエイションのひとつだ。原作は、私(早見裕司*)。原作者が語らなければ、忘れそうな作品だ。
原作は、『スケバン刑事』(原作もテレビも)へのオマージュとして書いたもので、硬派でシリアスな話だが、ドラマではコミカル色が強く、登場人物によるラブシーンも随所にある。放映枠が金曜ナイトドラマで、お色気を加える必要があったから、と聴いている。
よって、ドラマは原作と大いにカラーが異なるのだが、これについては、私はまったく気にしてはいない。なぜなら、映像化したのが『スケバン刑事』の東映であり、『スケバン刑事Ⅱ』の蟹江敬三がナレーションを務め、よりにもよって南野陽子まで客演したからだ。しかもヨーヨーを持って(!)。
東映に原作を預ける、というのは、東映的アレンジを楽しめるかどうかだ、と私は思っている。また、聴く所では、映像化の難しい「メイドの一里塚*」についても、どうやって登場させるか真摯に話し合った、と言うので、結果的に出なかったことも納得している。
結果、私はこのドラマを楽しんで見た。ゲスト俳優も本田博太郎はじめ豪華だったし、特に天下の不幸役・星野真里と天下の斬られ役・福本清三*のからむ傑作回『呪われたウエディングドレスの謎を追え!』(脚本・波多野都、監督・藤岡浩二郎)などは、安心して他人様にお勧めできるものだ。
ある意味、私は少女ヒーローを、原作者として極めたのかもしれない。そうは思いたくないが……。少女映像については、生涯現役でいたいのだ。
【注】
*早見裕司──当時の私の筆名。
*メイドの一里塚――メイド刑事・若槻葵が、最後の悪人を倒すときに、上に乗っている。『門松は冥途の旅の一里塚』から来ているもので、『この先冥途』と書かれた棒杭。
*福本清三氏――『メイド刑事』のご縁で、二度ほど電話でお話ししたことがある。朴訥な、口の重い方だが、温かいお人柄が分かった。
(この節、まだ続く……)
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