第一節の3 『ケータイ刑事』シリーズ
●『ケータイ刑事』シリーズ(〇二~一一年?)BS―Hi
『ケータイ刑事』は、『ルーズソックス刑事』の発展形として、警視総監の孫娘に当たる銭形姓の女子高生が、刑事ドラマでおなじみの役者たち扮する『おじさん』たちとバディを組んで事件を解決する、三十分ドラマの佳作だ。タイトルは、『ケータイ刑事 銭形×』となっている。全員が、警視総監の係累だ、という設定である。シリーズ全体は、二〇一四年六月現在、以下の作品群となる。
銭形愛(〇二年一〇月~〇三年三月)宮崎あおい、山下真司
銭形舞(〇三年一〇月~一二月)堀北真希、山下真司
銭形泪(るい)(〇四年一月~三月、セカンドシーズン〇四年四月~九月)黒川芽以、山下真司(第一シーズン)、草刈正雄(セカンドシーズン)
銭形零(れい)(〇四年一〇月~一二月、〇五年一月~三月)夏帆、草刈正雄(第一シーズン)、山下真司(第二シーズン)
銭形雷(らい)(〇六年一月~六月、七月~九月)小出早織、国広富之(第一シーズン)、草刈正雄(第二シーズン)
銭形海(かい)(〇七年七月~九月、セカンドシーズン一〇月~一二月、サードシーズン〇八年一月~三月)大政絢、草刈正雄(第一シーズン)、山下真司(セカンドシーズン)、松崎しげる(サードシーズン)
銭形命(めい)(〇九年七月~九月)岡本あずさ、松崎しげる
銭形結(ゆい)(一〇年一二月~一一年二月)岡本杏理(杏里)、辰巳琢郎
映画『ケータイ刑事 THE MOVIE バベルの塔の秘密~銭形姉妹への挑戦状』(〇六)黒川芽以、堀北真希、夏帆、草刈正雄 脚本・林誠人 監督・佐々木浩久
映画『ケータイ刑事 THE MOVIE2 石川五右衛門一族の陰謀~決闘! ゴルゴダの森』(〇七)小出早織、夏帆、国広富之、松崎しげる 脚本・林誠人 監督・田澤幸治
映画『ケータイ刑事 THE MOVIE3 モーニング娘。救出大作戦!~パンドラの箱の秘密』(一一)大政絢、岡本あずさ、岡本杏里、国広富之、松崎しげる 脚本・林誠人 監督・安藤尋
・ケータイ刑事 文化祭 in ゴルゴダの森 ~ 銭形海 + THE MOVIE2.1(〇八年)
・ケータイ刑事 銭形海 夏舞台完全版(〇八年)
漏れがあったら、申しわけない。
私は銭形海までは見ている*が、各シリーズのメインライターは、すべて林誠人が務めている。もうベテランの域に入りつつある、大人のラブコメからサスペンスドラマまで、芸風の幅広い人だが、密度が濃く、自由度の高い話を書いている。林については『TRICK』*の中で毎シーズン、ゲスト脚本家として後味の悪い話を手がけているのも注目すべきだろう。
そしてこの林誠人を中心とするスタッフ陣が、『ルーズソックス刑事』で物足りなかった要素を磨き抜き、三十分のワンアイディアミステリを完成させた、と思われる。
演出陣も、古厩智之*、安藤尋*、佐々木浩久*、小中和哉*などの若手監督を意欲的に起用し、TBS(当時)の平野俊一、田澤幸治なども活躍している。また、矢部美穂*や宝積有香*などのキャスティングも、特にシリーズを続けて見た人が堪能できるような仕上がりになっている。シリーズ後半に入ると、楽屋落ちやドラマのメタ化も増えてくるのだが、ファンには楽しい趣向に違いない。
*銭形海までは見ている――正確には、銭形海までDVDを買っていて、我が家の環境ではBSが見られないまま、いまに到っている。さすがにお許しを願いたい。
*古厩智之――ぴあフェスティバルで入賞し、16mm映画『この窓は君のもの』で瑞々しい青春を描いて大好評を博した監督。他に『さよならみどりちゃん』などがある。
*安藤尋――市川実日子・小西真奈美主演の青春映画『blue』が忘れがたい監督。
*佐々木浩久――『発狂する唇』『血を吸う宇宙』などホラーの監督としても知られる。
*小中和哉――『星空のむこうの国』『四月怪談』などSF寄りの少女映画で知られる。
*矢部美穂――『ケータイ刑事』の常連。『天然少女萬』にも出演する、ジャンル女優の華。
*宝積有香――同じく常連。全シリーズに必ず登場する。矢部美穂と宝積有香を堪能できれば『ケータイ刑事』ファン。
(この節、続く)
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