第七節の3 『4姉妹探偵団』
「赤川次郎ミステリー 4姉妹探偵団」(〇八年一月十八日~三月十四日)ABC・テレビ朝日・5年D組
『4姉妹探偵団』の原作は、『三姉妹探偵団』と同じ、赤川次郎の『三姉妹探偵団』だ。考古学者・佐々本周平(竹中直人)の娘、四女の佐々本夕里子(夏帆)を中心に、その姉たちの真理(中越典子)、綾子(加藤夏希)、珠美(市川由衣)の四姉妹が、刑事、国友靖之(吉沢悠)と共に、巻き込まれた事件を解決する──という設定のドラマ。テレビ朝日系列で、金曜夜九時から放映された。
──以上。
いや、そこで終わっちゃいけないでしょ、とは私も思う。思いますよ。しかし、触れれば触れるほど、ドラマに傷がつくことになってしまいそうなのだ。
例えば、四姉妹の父・周平が、毎回、出てこないのだ。クレジットでは、たとえば「(エジプトにて発掘調査中)」のように書いてあるが、実際に出演したのは、私が数えたのでは九話中二話のみ。これは嫌でも、大人の事情を疑わずにはいられないだろう。
もうひとつの、もっと問題な点として、謎解きがないことがある。
いや、あるでしょ。あんた、見てないんじゃないの? と言われそうだが、事件が起こって、それを巡る謎が謎を呼び──意外な人物が犯人と分かって、で、終わる。
そろそろお気づきの方もあるか、と思うのだが、推理がないのだ。四姉妹は、主にぎゃあぎゃあ言ってるだけ……そんなドラマを、私はどれだけ見てきただろう。
DVDソフトを見ると、このドラマはかなり厳しい条件下で作られた物らしく、メイキングで刑事役の役者が「このあと(彼女たちは)三十時間あるんで」という意味のことを言っている。つまり、三十時間寝ない、ということだ。
この原稿に関係のある作品だと、そう──大林宣彦監督で、キャスト、スタッフの集合写真に掲げられた幕に、『ねらわれた学園』ではなく、誰かが『ねわすれた学園』と書いたというエピソードや、同じ大林監督で、カメラマンがファインダーをのぞいたまま眠ってしまっていた『廃市』などというのもあった。
その苦労を、視聴者に見せまい、という苦労は、買わないではない。しかし、話の貧弱さは、隠すべくもない。
まあ、夏帆や加藤夏希のファンの方は、割り切って見ればその「活躍」ぶりを堪能していただけるかとは、思う。
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