第276話【ネタバレあり】間隙網でも一つの人格【解説編】
ご覧いただきありがとうございます。
以下、いささかのネタバレを含みます。
ネタバレの苦手な方は、是非、第001話から第100話までの本編をお楽しみの上、再度お越しください。
なお、第十二章~第十九章、第110話~第199話は欠番で、最初から存在しません。
――ここから――
第204話で「超感覚と間隙網」について語りました。
また、この一つ前の第275話でも間隙網について語りました。
ひと言でいうと、
もう一人分の脳神経回路に相当する裏のニューロンネットワークを持つ、
ということです。
で、ここでは「星辰に選ばれなかった人と違って、もう一人分の裏のニューロンネットワークを持っているからって、人格は一つだよ」ということを強調したくて筆を執ります。
そもそもyoutube先生のお話が根拠なので、どこまで確からしいのかはわからないのですが「分離脳」って知っていますか?
大脳は左右に分かれていて、右脳は感性と左半身の制御を、左脳は言語と右半身の制御を司っています。
右と左の脳は脳梁と呼ばれるそこそこ太い神経細胞群で繋がれており、相互に情報(判断)交換を行っています。
でね、
難治性
これが結構奏功し、
しかし色々調べていくと、不都合があることもわかってきました。
両目両耳両手両足で行動している時は健常者と同じように生活ができ、安全な治療法と思われていました。
しかし、右目を伏せて、
しかし「あなたは何のマークのカードを持っていますか」とたずねると、「何のカードも持っていません」と答えることがわかりました。
これはつまり、
左目で見たサンプルのカードを、右脳が確認し、
右脳が左手を操作して卓上のカードを取り上げるが、
右脳が何をしたかを左脳の言語野に送って言語化したいが、右脳から左脳へ情報伝達する脳梁は切り離されてしまっており、
言語で「何を持っていますか」とたずねられた左脳は、右手に何も持っていないので「何のカードも持っていません」と答えている、と考えられました。
指示されたカードを左手で持っている右脳と、
なにも右手に持たない左脳で判断が異なるのです。
経過観察を繰り返す中で、分離脳の患者が自然と頭を左右に振り、片目だけで情報を判断するのを避けたりする傾向や、買い物をする時に右手が取り上げた商品を左手が止めるということがあることもわかってきました。
これには、「右脳と左脳で別々の人格がある」という説や「個性に関する要素は左脳側に偏っているので、左脳側が人格の主人公である」という説もあるそうなのです。
さりながらもう一つの説としては「脳内には様々な意識が存在し、それらが統合されて一つの意識として成立している。
分離脳の患者は左右の判断を統合する脳梁が失われているので、左右の脳でそれぞれ意識統合がなされて、二つの異なる判断を持つ」
ということだそうです。
さて、我らが間隙網ですが、単体でなにかをすることはありません。
なので、星辰に選ばれて間隙網を持つに至った者でも、「裏のニューロンネットワーク」である間隙網と「表のニューロンネットワーク」に接点が無ければ、間隙網側は、外からの刺激も受けないし、処理しないし、何らかのアウトプットを持とうにも、それを表現する手段がありません。
なので接点が無ければ無いも同然です。
当然、その場合着甲試験を実施しても常人と変わらず、まともに動けず不合格となります。
星辰に選ばれた全員が間隙網を持つわけではなく、胎児の段階で間隙網源細胞が存在するかどうかが鍵となりますが、間隙網を持っている者が必ずしも顕現者となるわけではなく、一箇所でも「表のニューロンネットワーク」とつながりのある者が、その双方の結びつきを強くしていくことになります。
間隙網は「表のニューロンネットワーク」と異なる視点・観点を与えてきます。
感覚としては常人には見えない視界外の様子や、騒音の中からかすかな危険の兆候をつかむことにつながりますが、一方熟考が必用な物事には迷いの基となります。
本人の思想信条や特定の宗教への拘泥に対しては迷いの基となります。
ここで、間隙網を活かせるかどうかは、当人の主人格の選択に寄ります。
特定の思想信条に凝り固まって、自分自身の中に抱く、多様な考え方を否定していくごとに、表のニューロンネットワークが、間隙網との接続を切っていきます。
あるいは特定の神様や教祖様にのめり込み、自主的な判断を閉ざしていくたびに、表のニューロンネットワークが、間隙網との接続を切っていきます。
表のニューロンネットワークと間隙網の接続箇所が全て切り離された時、間隙網は無かったことになります。
全ての接続箇所が失われると、もはや「表のニューロンネットワーク」つまり主人格にとって間隙網は無かったものとなり、再び間隙網との接続を試みることはできなくなります。
そして構造体の神経膠細胞が「働いていない神経細胞=死んだ or 不要な神経細胞」として処分を始めます。
かくして、「正義感」の強い者ほど、徹攻兵への適性は弱く、「迷いを抱きながらも、なにかを掻き分けるように進む者」にこそ、着甲時強化現象は発現するのです。
まあ「発現するのです!」といったところで、私個人がそういう設定にしているというだけですけれども。
もし、お気に止まりましたら100話までの本編をご笑覧ください
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