第243話【ネタバレあり】水中時無呼吸稼働という設定【解説編】

 ご覧いただきありがとうございます。

 以下、いささかのネタバレを含みます。

 ネタバレの苦手な方は、是非、第001話から第100話までの本編をお楽しみの上、再度お越しください。

 なお、第十二章~第十九章、第110話~第199話は欠番で、最初から存在しません。





――ここから――



 ごっつ余談ですけど、一つの前の「挿話」、くどすぎたかも知れない。

 ※カクヨムに掲載するに当たって2編に分けましたが。

 ほんと、器用な方の器用さにあこがれる。

 自分に「やりたいようにやれば、人様を喜ばせる結果が付いてくるわけじゃねーんだぞ」と言いつけたい。

 不器用、へたくそ、って称号がよく似合う作者です。

 

 さて、流れをぶった切って切り替えますが、水中時無呼吸運動という設定自体、最初は全く考えていない設定でした。

 ただ、装甲服は世代を上げるごとにスリムに、スタイリッシュになっていくのはイメージしてました。

 

 作中では全く触れませんでしたが、高世代型顕現者が敢えて低世代型装甲服をまとって、「重量感を演出する」シーンとかも描きたかったんです。

 鈍重そうな〇六型を着甲しているのに高出力の光条砲を乱発する、みたいな。

 で、敵が「なんだあれ、光条砲に対応してるのか」みたいな狼狽を覚えるみたいな演出。

 

 はてさて、高世代型に対応するにつれて装甲は薄くて済む設定です。

 もっさい外観から、スタイリッシュになります。

 これを考えた時、顔、どうするか考えたんですよね。

 どのような状況でも即応できるようにガスマスク標準装備にしていた第一~第四世代型ですが、第五世代型でかなり装甲が薄くなるイメージと合わせて「そろそろガスマスク卒業してもいいんじゃないの」と。

 

 ガスマスクを卒業するに当たり、水中時無呼吸稼働という試験が先行して行われる方がなんか現実感があるかなあ、と思ったのです。

 そも、細かい設定を本編で記述していませんが、第一世代型装甲服である九八式装甲服で、百メートルを六秒で走破し、そのまま、時速六十キロで一時間の連続走行が可能です。

 これに体力は使用せず、前傾姿勢こそ取るものの、散歩している感覚で走破します。

 なので、徹攻兵の稼働・運動と体力は別物と定義されてきました。

 

 第五世代型で武多が水中時無呼吸稼働を起草したのは、多分に彼のスタイルにあります。

 顔ピアスを愛用する彼は、右耳に三つ、左耳に四つ、鼻に一つ、舌に一つ、下唇に二つ、あと時期によってスクレイパーとかを楽しむタイプです。

 彼にとってガスマスク顔はスタイリッシュではなく、「そもそも、徹攻兵に呼吸なんているのかよ」といささか乱暴に考えた結果が、ドイツのアデル・ヴォルフ機関も思いつかなかった水中時無呼吸稼働に続く対毒ガス試験なのです。

 結果的に彼の予測は当たり、第五世代型は水中時無呼吸稼働を可能にするばかりか、反響定位により超音波を用いて海中の形状を認識します。

 その上で対毒ガス試験もクリアし、ガスマスク部分を廃止することができました。

 

 メタ的なことをいうと、ここで世代の差をくっきりと浮き出すこともできるんですね。

 徹攻兵の標準的な機能は第四世代におきたいと思います。

 第四世代型装甲服が徹攻兵の「徹攻兵らしい」機能を兼ね備えている、という設定です。

 これに対して第五世代型はガスマスク部分が廃止されているため、明らかに「上位世代」って印象を与えられるのです。

 

 この辺りのさじ加減が、武多という、官僚としてはいささか型破りな研究員の、なかば「趣味」によって発掘されたっていう事実が、なんか現実感を醸せないかなあ、と思っていたりします。

 

 もし、お気に止まりましたら100話までの本編をご笑覧ください。

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