第072話 最終通告
九月、アメリカはイギリス、フランス、ロシアとASEAN諸国との共同声明として、
ファイアリー・クロス礁をASEAN諸国の国際航海拠点として活用すること、
現在居住しているものは、九月十五日を目処に退去すること、
九月十六日以降、複数国で構成された徹攻兵が暫時駐留を開始する方針であること、
を表明した。
日本の名前は、共同声明国の最後に記載されていた。
一週間後、フランス大使館を通じて色川の元に届けられた情報には、徹攻兵の総数が四十以上であることと、二メートルを超える近接武器を携行しているものは確認されていないことが含まれていた。
二〇二八年九月十七日の日曜日に、寄港していたフィリピンのスービック湾より出港したアメリカ海軍の空母打撃群には、二六式に対応している四人の徹攻兵と、一八式に対応している六人の徹攻兵が、今次作戦の特殊兵装と供に乗り込んでいた。
空母打撃群には、通常編成より一隻多く、日本の海上自衛隊のイージス艦も含まれていた。
艦隊は、密かに原子力潜水艦と、海上自衛隊所属のたいげい型潜水艦二隻が潜む、フィリピンの島々に囲まれたスールー海に進むと、決行の時を待った。
この間にも、国際的な交渉は続けられていた。
公式な交渉と、公式な声明、そして非公式な交渉が展開されていたがそのどれもが成立しなかった。
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