第037話 月次訓練の充実
八月、輝巳、遊、宇、堅剛の四人は、お盆休みに家族サービスも必用だったが、信世も含めて徹攻兵の慣熟訓練に参加していた。
四月の訓練から明理も皐月も出力を伸ばし、明理は〇六式の九割の出力に、皐月は一八式の五割の出力に、それぞれ達していた。
二人だけではなく、新たに二名の〇六式対応者も現れた。
二十六才の
七生は百八十一センチの長身、道照は百六十八センチのがっしりとした体格の持ち主だ。
小安三曹は三割程度、鷲見一曹は五割程度だが、いずれにしても〇五式を超えてきたのは素晴らしいことだった。
宇の声かけで、二人とも下の名前で呼び合うことには慣れてくれた。
もちろん年の差もあり、輝巳達には、輝巳教官、遊教官、という呼びかけ方だったが、明理と皐月達とはさん付けで呼び合うようになった。
二人とも男の子、というには年かさだが、やはり心は男の子なのでラインメタルの実射訓練は楽しみにしていた。
七生は出力が引くく、後ろに輝巳が控えてのことだったが、目はよく、一発は赤丸をかすめた。
道照も目がよく、三発は赤丸を押さえた。
七生は、ラインメタルを下ろすと、右肩を回す。「いやぁ、ちょっと違和感がありますね。
重かった。
でも、実弾を撃たせてもらえるのはありがたいです」
輝巳が答える。「百パーセントの力が出せれば弾道も安定して、同じ穴に収めるのも不可能ではないからね。
早く、こつをつかめるといいね」
がんばります、と答えてくる。
道照はその点、少し考え込んでしまい、ラインメタルの構え方を、こうかな、こうかな、と反復している。
堅剛が道照の左肩に触れる。「むー、焦ることはないよ。
今の出力で赤丸に収まるんだから、出力さえ整えば見えてくるからさ」
「ありがとうございます。教官」
「むー、けんごう、ね俺の名前」
「はい、覚えてます。堅剛教官」と返事をされて堅剛はマスクの下で苦笑い。
まあ、十以上こっちの方が上だし、呼び捨てにはできんだろうなあ。
道照と七生の成長もあり、〇六式の展示はやがて充実するだろう。
輝巳は「明理ちゃんと皐月ちゃんが慣熟する頃には、長かった俺たちの展示訓練も終わりになるかな?」と笑って見せた。
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