モノラル

@kuroume0315

第1話


立花掃除をしている

立花 今日の目玉はやっぱりこれでしょ。最新型のレフカメラ!いやぁいい品が入って良かったよ


酔った佐山登場


佐山 おい!圭吾ぉー

立花 また来たのおじさん

佐山 何がまた来たのだよ!!今日はなぁお前に苦情があんねん

立花 は?俺なんもしてないよ

佐山 いいや!ある!昨日俺は野球を見てたんや

立花 野球好きだもんね

佐山 ちょうどオールスターゲームや!ハイテンション!!!生きててよかったーー!!そう思った矢先テレビでこう出とんねん! アナログ放送は終了致しました。デジタル放送に切り替えてください。砂嵐ざーーー!!

立花 そりゃおじさんが・・・・

佐山 お前俺の大事な野球の時間を奪いやがってふざけんなよあほ!お前がちゃんとしてないからなぁ、俺の大事な野球の時間は無くなったやないか!!

立花 あのね今の時代ちゃんと切り替えてない人居ないよ?俺も説明して切り替え工事もやるって話したよね?

佐山 でもお前金かかる言うたやないかい!

立花 当たり前でしょ?だってお仕事なんだから。親戚でもタダって訳にはいかないよ

佐山 ちっ!!お前は冷たいのぉ、親父はそういうのタダでやってくれたし、色々サービスも手厚かったんやで!見習わなあかんで!!

立花 親父は親父。俺は俺。俺は親父みたいにお人好しじゃないの!

佐山 ふん!よう言うわ。お前がこーんな小さいころよーしてやったのに・・・たっく・・・この机借りるで

立花 ここは居酒屋じゃないんだけど

佐山 細かいこと言うなや


花木登場

何か商品を探している花木


立花 何かお探しですか?

花木 そうなんです!

花木・・・今ちょうどカメラを探してて

立花・・・カメラですね!でしたらいいものがありますよ。他にも色々こちらの方に持ってくるのでここで少しお待ち頂けますか?

花木・・・わかりました!ありがとうございます!


立花商品を裏に取りに行く


佐山 おい姉ちゃん

花木・・・は、はいなんですか?

佐山 カメラ買いに来たんやな。カメラなんかワシらおっさんの趣味やろ

花木・・・そんなことないですよ。今はカメラ女子が流行ってるんです

佐山 カメラ女子?ふんっ変わったもんが流行っとるなぁ

花木 ・・・私、父が戦場カメラマンでたまにしか帰って来ないんですけど、でも父の影響で私もカメラはじめて見よかなって

佐山 ・・・カメラなぁ・・・やり始めたら楽しいけど姉ちゃんにはちと難しいんちゃう?

花木 ・・・なんではじめてもないのに否定するんですか!もしかしたら天才的な才能があるかもしれないのに!てかあなたさっきからなんでお店の中でお酒飲んでるんですか!

佐山 おじさんアル中だからぁ(笑)

花木 ・・・ほんと失礼な人ですね


立花戻る


立花 すみませんお待たせしてしまって!

花木 ほんとですよ。なんですかあの酒飲みゴミ親父は

立花 すみませんあれうちの親戚でして、すみませんすぐ出ていかせますから

佐山 おい!

立花 だっておじさんが完全におかしいでしょ。しかもまたお客様に失礼なこと言ったりして!お客様ほんとに申し訳ありません

花木 大丈夫ですよ。店員さんが悪いわけではありませんから。それでカメラって見せていただけたりしますか?

立花 あ!すみません!今回ご用意させて頂きましたのは一眼レフ、ミラーレスとデジタル一眼、後は通常のデジカメですね

花木 どんなのがあるの?

立花 このデジカメは1800万画素もありまして初心者にも使いやすく可愛らしいデザインになってます。それでこちらは対照的に一眼カメラで最も売れているカメラになってます。カラーも赤と黒がありカメラ女子の方にも赤はかっこよくそしてファッショナブルにも使って頂けます。それでこちらはミラーレス気軽に持ち運びもできるコンパクトサイズですが、一眼にも引けを劣らない性能を備えてます。大体はこんな感じですね

花木 私、この一眼カメラがいい

佐山 おいおい姉ちゃんほんとに扱えんのか?

花木 うるさいわね!いいじゃない別に


山本登場


山本 あのー失礼します

立花 はい・・・山本さん・・・

山本 すみません接客中に

立花 いえ、とんでもないです。

山本 それでさっそくなんですが、例の件ご了承頂けます?

立花 いや・・・私も決めかねてるというか・・・やはり父から受け継いだ店なので簡単には・・・

山本 でも今売って頂かないとそちらも大変なんでしょ?

佐山 また来たんやなぁ坊ちゃん

山本 おやおやこれはこれは

佐山 こいつにまた要らんこと吹き込みに来たんか?

山本 やだなぁ滅相もない。私はあなた方の助けになりたくここに参ってるわけですよ

佐山 助けねぇ・・・いらねぇな・・・こっちはなんとかなるからよ助けなんていらねーわ

山本 そんなこと仰らずね?

立花 おじさん!大丈夫僕が話すから

佐山 圭吾・・・

立花 奥に来ていただけますか?

山本 はい


2人はける


花木 あの人は?

佐山 あー土地を売買の営業。半分ヤクザみてぇなもんだ

花木 この店無くなるの?

佐山 いや、大丈夫だろ。あいつが何とかするさ

花木 そういやなんであなた私がカメラやるの止めるの?

佐山 ん?あー・・・俺なぁ元々カメラマンだったんだよ

花木 そっか

佐山 たくさん色々行って撮ってきた。俺も戦場カメラマンだったんだよ

花木 え?

佐山 戦争で起こってる今この現状を伝えないとって必死になってた。でも日本って国はなぁ平和ボケしててよ。帰って来る度にギャップが凄いんだよ

花木 戦場でもしかしてうちのお父さんに会ったことある?花木大吾って言うの

佐山 ある

花木 え?ほんと?

佐山 ほんまや。花木さんは俺の直属の上司でな色々教わったんや。姉ちゃんも小ちゃい頃見たことあるんやで。

花木 あの時のお葬式にいたの?

佐山 あぁ

花木 なんでカメラ辞めたの?

佐山 怖くなったんや 目の前で戦友が殺されそれでも撮り続けなきゃ行けないことにも日本の平和ボケのギャップにも。だから酒ばっか飲んどるダメなおっさんになったんや

花木 そっか


2人戻る


山本 あなたも頑固ですねぇ

立花 山本さんすみません渡せないです

山本 早く渡せばいいものを・・・いくらですか?手付金今すぐ用意しますよ

立花 お金じゃないんです

山本 ふざけんなよ お前のためにいくら時間割いてると思ってんだよ!こっちも暇ちゃうんやぞ。はよ土地の利権書諸々出せや!

佐山 あのーすみません

山本 あ?なんやおっさん

佐山 いやぁ先程から目に余る行動実に不愉快だなと思いまして

山本 は?

佐山 大企業の御曹司でありながら、今出世街道まっしぐらのあなたには少しお灸据えたろ思います

山本 何が言いたい

佐山 私こういうものです


佐山が大手雑誌の記者であることを示す名刺を渡す


山本 朝日文春・・・

佐山 先程までの会話行動は全て録音とカメラによる録画は済んでいます。これをうちの会社のネタにされたくなかったらお引き取りください

山本 くっ・・・諦めんぞ・・・


山本去る


立花 おじさんありがとう・・・

佐山 これはお前の親父への恩返しだ。

花木 佐山さんさっきは失礼なこと言ってほんとにごめんなさい

佐山 いい気にせんとって・・・それとなもう一個返さなきゃいけない音がある

立花 恩?

佐山 姉ちゃんそのカメラ買うんか?

花木 はい

佐山 ならこのレンズプレゼントしたろ。あとカメラは教えたるこんなおっさんでいいならな

花木 なんでそこまで?

佐山 恩返しやそのレンズも花木さんのやから返せてよかったわ

花木 ありがとう・・・ございます・・・会計お願いします

立花 はい!お買い上げありがとうございます!



立花 カメラにはたくさんの思い記憶がそこに乗ります。楽しい記憶、悲しく辛い過去、目も当てられない悲惨な日常・・・でも私たちはそれを受け止めれているのでしょうか?どこか遠い世界の話・・・それこそモノラルのようにその写真を眺め・・・自分とは違う世界と捉えていないですか?誰だってそう思いますよね・・・でも今どこかで身の回りで大変なことが起こったときあなたはどうしますか?私は1人でも多くにこの大変な事実を伝えたい。だからこのお店は無くしちゃいけないんです


カメラを撮る






END


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