第16話 幼馴染の女子と親友のイケメン
「はぁ・・・絶対嫌われたよな・・・」
大きなため息を吐いて自分の席に座る。
「どうしたよ桐島そんなにでかいため息なんて、なんかあったのか?」
と声をかけてきたのはクラスメイトの
「それがさ・・・俺」
涼の自然な問いに危うく俺が西条の胸を触り挙句の果て嫌われたという事を言いそうになってしまった。
そんなことがバレたら、それこそ俺の学校生活が終わる。
「いやぁ、実は寝不足で・・・」
「ははっ、そんなことだろうと思ったよ、体には気をつけろよ」
「あ、ありがとう」
咄嗟に出た嘘が寝不足であまり寝ていないから元気がないということにした。
「どうせ夜遅くまでゲームしてたんだろ?」
「まぁ・・・そんなところだ」
上手く誤魔化せてホッとしていたが、西条に嫌われたかもしれないという、問題は何も解決していない。
「話変わるけどよ、もうすぐ夏休みだろ?それが終わったら文化祭で、その後は修学旅行だぜ?俺すごく楽しみなんだよ」
そう言ってニコッと笑った姿はクラスの女子だけでなく、男子ですら見惚れていた。
俺もその一人だった。
「お前・・・その笑顔は好きな女子の前以外で使うなよ・・・・・」
「なんでだよ、俺には笑うなってか?」
「違くて、色んな女が寄ってくるぞ」
「今更そんなこと言われても、桐島は俺の好きな人知ってるだろ」
「まぁ、知ってるけど」
涼の好きな人を俺は中学の時に教えてもらった。それで、涼とその子が結ばれるように、手伝いもしてるし、応援もしている。
「優、何の話ししてるの?」
後ろから肩を叩かれ、振り向くと、
「真衣・・・別に良いだろ、男同士の話だよ」
「ま、真衣おはよう」
「おはよう涼、それで?なんの話ししてたの?涼」
「それがさーコイツ・・・」
「おいっ、涼」
「会話終わらせるの嫌だし、な?頼む!」
そう、涼は真衣の事が好きなのである。
「まぁ、協力はしてやるけど・・・」
「ありがとう!それでこそ、親友だ!」
「また二人でなにコソコソ話してるの?」
「いやぁ、実は今度遊びに行かないか?って話しだったんだよ、真衣もどう?」
「おい!誰もそんな事・・・んぐ?!」
涼の大きな手で口を塞がれた。
「ね?どう真衣」
「うん、楽しそうだから行こうかな」
「おしっ!決まり!日程はまた後日話すわ!」
その後真衣は他の女子に呼ばれてそっちの方に走って行った。
「おい、どうすんだよ」
「どうするって言われても行くだろ?」
「いや!バイトがあるし・・・」
「お前がバイト休みな日に調整するから」
「まぁ、それだったら・・・」
と、ほぼ勢いで話にノッてしまった感があるのは否めない。
「それで、どこ行くんだよ」
「まぁ、夏休み入って海とか?」
「それお前、真衣の水着姿みたいだけだろ」
「あっ、バレた?」
全くコイツは、と言いたいが俺も男なので女子の水着姿を見たいとは思ってしまう。
「それに、夏って感じが一番出るじゃん?」
海かぁ、水着買わないといけないかなぁ・・・などと考えていた。
⭐︎ ⭐︎ ⭐︎
「さ、西条、やっぱり怒ってるのか・・・?」
「・・・・・・」
バイト終わり西条に話しかけても、プイッとそっぽ向いている。
(やっぱり怒ってる・・・・・そりゃそうだよな好きでもない男に押し倒された挙句胸を触られたんだから)
「はぁ・・・」
「ちょっと!ため息やめなさい!こっちまで不幸になりそうでしょ」
「わ、悪い」
「後、別にもう怒ってないし」
「えっ?そうなのか?じゃあなんで、無視してたんだよ」
「だって、最初に私が話しかけた時無視したじゃない」
「あれは考え事してて」
西条の注文を取りに行った時、何か話しかけられたのだが、その時は海に行く事になってしまったという事を考えていたため、西条の話を聞けていなかった。
「どんな事よ」
「海に行くことになっちゃって・・・」
「それが、どうしたのよ」
「実は・・・あんまり行きたくないというか、水着を持ってないというか」
それを聞いた西条は何故かニヤニヤしていた。
「なんだよ・・・・・・」
「じゃあ水着買いに行こ!」
「えっ?」
西条と?二人で?いきなり水着を買いに行く約束をされて、俺は固まってしまった。
「終業式っていつ?」
「20日で、午前だけだと思う」
「じゃあ一緒ね、午後から買いに行くわよ!」
「ちょっ、ちょっと待てよ!なんで急に・・・」
「あら?そんな事言える立場かしら?嫌なら私の胸を触った事みんなに言ってもいいんだけどなぁ」
「クソっ悪魔め・・・」
べーと舌を出している西条を見て、素直に可愛いと思ってしまったのが悔しい。
「じゃあ決まりね!」
西条は水着を買いに行くという事が決まったからなのか、さっきよりも上機嫌になっていた。
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