第3話 アユムとメガネ
きびすを返し歩き去ろうとするアリサをアユムは呼び止める。
「なんよ⁇」
「いや、あの、どうしたら、あれだ。レナともっと仲良くなれると思う?」
アユムはその質問を言葉にした後、恥ずかしさで発狂して走り出したくなった。
「ほほーう。」
アリサが面白そうな顔をする。
「そうやって人にアドバイスを求めるところは成長したじゃあないかアユム君」
「うるせぇよ。だって、仕方ねぇだろ。自分じゃよく分かんねーんだもん。」
「うんうん。青春だねぇ。」
くっそー、アリサのやつ、下手に出てれば調子乗りやがって!アユムは内心毒づく。
「とりあえず焼きそばパン奢りね!」
「なんでだよ!」
「アユムはさ、なんでゲームの中とリアルでそんなに差が出ちゃうの??」
アリサはベンチに腰掛け、焼きそばパンをホムホムと頬張りながら言った。くそう、オレの250円がアリサの腹の中に吸い込まれていく。
「なんでって‥なんでだろうな。」
アリサの隣でアユムは言う。
「もー、ちゃんと考えなよ。相談乗る気失せるじゃん。」
アリサが不満気に言う。それからいちごオレのピンク色のパックにストローをぶっ刺す。
くそう、オレの120円がアリサの腹の中に流し込まれていく。
「だってリアルだと顔が見えるだろ?」
「私とはふつうにしゃべるじゃん?」
「それは、、そうだな。」
アユムはたしかにと思って考える。アリサとはふつうに喋れる。けどレナとだとリアルじゃ緊張してうまく喋れない。
「喋るのが、、怖い」
アユムはそう言って肩を落とした。
アリサはアユムの方を見てふっと笑う。
「まぁ、それが好きって事なのかもね。」
「そうなのか?」
「知らんけど。」
「なんだよ。370円返せよ。」
しかしそう言われて、アユムは自分のこの気持ちが決して間違ったものではないと言われた気がしてどこか安心した。
それから、今晩の事を考える。また、レナとゲームの世界で会える。
「今日は1キルはしないとな。」
アユムが言う。
「えー、私は別になんでもいいんだけどなぁ。有名大学への進学、大企業への就職を約束するだっけ?そんな事言われてもさぁ。あんまピンとこないんだよねー。まぁやりたい事とかあるわけじゃないんだけどさ。」
アリサは足をブラブラさせながら言った。
始業式の日、クソ担任は眼鏡をくいっとしてから見下したようにオレ達に告げた。
「現在とある事情で私がこの学校を取り仕切る事になった。」
は?クラス全員が同じ反応だった。
何言ってんだこの眼鏡。
「この学校の一年、二年にはとあるゲームに参加してもらう。これは強制だ。参加してもらうゲームは『GUN's World online』いわゆる、ファースト・パーソン・シューティング・ゲームの一種だ。学校生活は通常通り行ってもらい、帰宅した後、20:00-21:00の時間で参加してもらう。二言は認めない。4人1組でパーティを組み、より多くのプレイヤーを倒す事を目的とする。パーティの選定はこちらで行わせてもらう。」
クソ担任はここまで一気に喋り終えてから眼鏡をくいっとする。
「このゲームでより優秀な成績を残した者には有名大学の進学、その後の大企業への就職を約束しよう。」
眼鏡クイッ。
「くっそあの眼鏡野郎腹立つわー。」
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