第8話 第1回戦(2) M&Aグルメクイズ

「第2問はグルメクイズだ。

 グルメに関してはやはりミユキに頼るしかないだろう」


「は~い、よくわかんないけど、行ってくるね」


第1問で勝ち抜けた北海道を除く7チームが第2問に臨む。


アナウンサーがルールを説明し始めた。


「問題はお酒に関してです。正解と思うお酒を飲みほしてから答えてください」


回答者たちの目の前に、数々の有名銘柄のビールの小さな缶が並んだ。


「それでは問題です。

 1906年に日本のビール会社3社が合併し市場シェア7割の大日本麦酒株式会社が誕生しました。

 合併した3社と関係するビールはどれでしょう?」


ミユキの瞳の奥に鋭いきらめきが走り、自信に満ちた表情を浮かべた。


(お酒に関して♪私が間違えるはずもない。楽勝だわ!)


1906年には、過当競争排除・輸出促進・資本集中化資本のために日本ビール史上最大の合併が行われた。

「日本麦酒」「札幌麦酒」「大阪麦酒」の三社だ。

これは今でいう、エビスビール・サッポロビール・アサヒビールである。


(目の前にその3本を持ってきて、あとはこれを飲み干せば正解ね……)


そう、飲み干せば……正解なのだが……


(あ、私ビールの炭酸苦手だったんだ……)


徐々にミユキの顔が険しい表情に変わっていく。


「どうした、ミユキ!がんばれ、やればできる」


「……ぉ、ぉぅ」


ミユキは一口飲むごとに喉が焼けるような感触に襲われた。


「…………」(うるうるうる)


なんとか頑張って1本は飲んだものの、その間に別の回答者がビール3本を飲み干し回答してしまった。

その相手は、あのイケメン4人組、今日大のチームまろまゆだった。


「みんなごめんねぇ。問題がワインだったら良かったのに……くやしいよぉ~」


「まあ、しょうがないね。ビールが来るとは運がなかった。よしよし」


フユミがミユキの顔を自分の胸に包みこんで頭をなでて慰めた。


(ま、これでクイズ参加メンバーの自覚ゼロだったミユキも、次は気合入れてくれるのならそれも良しだな)


こうして第2問が終わった時点で、2回戦へのチケットは残り2枚となった。

さすがに次くらいで勝ち上がっておきたいところだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る