ジングルベルが鳴り響く

ジングルベルが鳴り響く

SE：ジングルベルが鳴り響く。

素直：わあ、おっきなツリー

笑顔：本当だね、きれー

素直：あ、ねえ笑顔、クリスマス限定のケーキ味のたい焼きだって！買おうよ

笑顔：もう素直、ダメ、私達はケーキ買いに来たんでしょう、それに夕飯食べられなくなっちゃうからダーメ

素直：えー、本当に駄目？

笑顔：ダメ、ほっぺ膨らましてもダメ、早く買って帰るよ、モキュちゃんもお家で待ってるし

素直：あ！ねえ笑顔、あれ

笑顔：ん？どうしたの？

素直：あそこ見て

笑顔：え？サンタさん！？

素直：本物、かな

笑顔：でも何かちょっと落ち込んでるみたい

素直：話しかけてみようよ

サンタ：はぁ

素直：あの！サンタ、さん？

サンタ：おや？ああ、私はサンタクロースだよ

笑顔：やっぱり本物のサンタさんだ

素直：あの、何か悩んでるんですか？

サンタ：はは、サンタにだって悩みはあるさ

笑顔：もし良ければ、話だけでも聞きますよ

サンタ：いや、いいんだよ、君達はクリスマスの街を楽しんでおいで

素直：困ってる人が傍にいるのに、放っておけません

サンタ：ありがとう、君達はいい子だね、隣座るかい？

素直、笑顔：失礼します！

素直：その写真、ずっと見てたけど、その子はサンタさんの息子さん？

サンタ：これかい？まあそんな所だ…すまないさっきは嘘をついた、私は本物のサンタじゃないんだよ、ただの雇われの身だ、子供の夢を壊してすまない

笑顔：ううん、子供の夢を想う人は皆サンタさんになれるもの

サンタ：君達は本当に優しい子達だ、私の息子はもう5歳になる、だがクリスマスだというのに私は息子にプレゼントをやる事も会うことも出来ない

素直：どうして？

サンタ：ほっほ、大人には色々と事情があるのだよ、だがクリスマスに一度だけ奇跡が起きるのならば、あの子の為に最後に父親らしい事をしてやりたい

笑顔：ねえ素直

素直：うん、あの！私達が手伝うからその子に会いに行きませんか？

サンタ：いや、だが、会いに行っても迷惑だ、私には父親の資格がない

笑顔：じゃあサンタさんとして会えば？

サンタ：何だって？

素直：それいい！サンタさんならバレないし、一度顔見に行くだけでも

サンタ：だが…

笑顔：ほらそうと決まったら早く早く！

サンタ：ちょ、ちょっと待っとくれ

――――――――――

素直：あそこがサンタさんの家？

サンタ：ああ、そうだ

笑顔：あ、写真の子

サンタ：健太…

サンタ：やっぱり駄目だ、会いに行けやしない

笑顔：勇気を出して、サンタさんを信じるの今年で最後かもしれないじゃない

素直：あ、お母さん外出て行ったよ

笑顔：買い物かな、サンタさんチャンス

サンタ：分かった、行ってくる

素直：頑張って！サンタさん

笑顔：私達ここで見守ってるから

サンタ：よし、(深呼吸をして)

SE：インターホン

健太：はーい

サンタ：ほーっほっほ、私はサンタクロース、ここにいい子がいるって聞いたんだが本当かな？

健太：サンタクロース？本物？

サンタ：ああ、本当だとも、君は健太君だろう

健太：えっ、何で僕の名前知ってるの

サンタ：サンタさんは何でも知ってるんだ

SE：扉を開く音

健太：むー、怪しい

サンタ：サンタに見えないかね？

健太：ママがサンタクロースはいないって

サンタ：はは、何をおかしな事を、実際私はここに存在してるだろう、君の誕生日は1月3日、それから君は3歳の頃に転んでできた傷跡が膝にある

健太：わっ、凄い！本物のサンタだ

サンタ：これでわかっただろう？

健太：うん！でも、ママは知らない人とはあんまり関わらないようにって

サンタ：そうか、ママの言う事を聞いていい子だな、会えて良かったよ、君の元気な姿を見られただけで十分だ

健太：待って、サンタならプレゼントくれるんでしょ

サンタ：ああもちろん、健太君は何が欲しいんだい

健太：パパ

サンタ：健太…

健太：ねえ、本物のサンタクロースなら叶えられるでしょ？

サンタ：ああ、きっと、叶えられるよ、ただしこれからもママの言う事をきちんと聞く事、それからママを守ってやる事、約束出来るかな

健太：うん、僕男の子だからちゃんとママを守るから

サンタ：それなら安心だ、じゃあ私は行くよ、子供たちが待ってる

健太：うん、ばいばい！サンタさん

素直：あ、サンタさんおかえりなさい

笑顔：おかえりなさい！

サンタ：ただいま、君達のお陰で息子に会う事が出来た、こんなクリスマスに私にとって大きなプレゼントだ、ありがとう

素直：ううん、サンタさんが勇気を出しただけだよ

サンタ：もう思い残すことはない、さてと仕事場に戻るかな

笑顔：じゃあ素直、私達も

素直：うん、あれ？何か焦げた匂いがしない？

笑顔：え？そういえば

サンタ：私の家の方からだ、煙が出ている、まさか、健太！

BGM：緊迫

サンタ：健太ー！ゴホッゴホッ、ひどい煙だ

SE：炎

サンタ：健太どこだ、この火どこから

健太：ママー！助けて！

サンタ：はっ健太！

健太：サンタさん、俺ママに褒められたくて料理を作ろうとしたら、そしたら火を消し忘れて、ごめんなさい

サンタ：お前は何も悪くない、私が悪いんだ、いいかいパパの腕の中に入ってなさい

健太：え…？

素直：笑顔、これって敵の仕業？

笑顔：分からない、けど迷ってる暇はないね、変身するよ！

～変身～

素直：フレッシービレ！流れる水よ、火を消して

SE：バシャア

サンタ：君達は！？

笑顔：クリスマスの妖精でーす、さ！二人とも早く家から逃げて

サンタ：ああ、ありがとう、さあ行くぞ健太

健太：うん

敵(雪だるま)：クソー、邪魔したな、俺はクリスマスが大ッキライなのに

素直：えっ、雪だるま？

笑顔：何で溶けなかったの？

素直：まあいいや、とっとと倒しちゃお、フェルヴェンテ！

笑顔：強化魔法、フェローチェ

SE：魔法の音、火が消される音

雪だるま：俺の体は耐熱仕様で効かないんだ、今度はこっちの番！雪玉攻撃

素直：痛い痛い！

笑顔：すっごい地味な攻撃

素直：ねえ、笑顔さっきこの雪だるま、クリスマスが嫌いって言ってたよね

笑顔：あ、確かに、じゃあクリスマスの良さを教えてあげないと

素直、笑顔：聖なる夜に奏でる、クリスマスキャロル！

雪だるま：何だそのでっかい鈴は

素直：ただの鈴じゃないよ、大砲

雪だるま：何だと！おいまさかっ、俺に撃つな！

笑顔：バーン！

雪だるま：ひええ

SE：ポンッと間の抜けた音が鳴る

雪だるま：え？お菓子とプレゼント？

素直：何でクリスマスが嫌いか分からないけど、こんなに楽しいものなんだよ

雪だるま：俺はクリスマスに作られてもすぐに溶けてしまうから嫌いだったんだ、だけど、こんなに楽しいのなら壊すんじゃなかった

笑顔：大丈夫！だってまだクリスマスはこれからだもん

素直：そうそう、だから皆でジングルベルを歌おうよ

雪だるま：うん！

BGM：ジングルベルの音が鳴る

サンタ：何だか楽しい音楽が聴こえてくる

母：あなた、誰？怪しい人！？

サンタ：いや、私は！

健太：ママ！この人が僕のこと助けてくれたんだよ、火の中から

母：火の中ってどういう事なの？大丈夫？怪我はない？ああよかった、もう勝手に火使ったらだめじゃない

健太：ごめんなさい

母：息子を救ってくれてありがとう

サンタ：いえいえ、当然の事をしたまでです

母：あなたもちゃんとお礼言いなさい

健太：ありがとう、パパ

母：え？パパ？

サンタ：すまない、勝手な事をして、どうしても息子にひと目会いたかったんだ

母：あなた…

サンタ：もう帰るよ、クリスマスは終わる、サンタはどこかへ帰らなくてはならない

母：ねえ、待って、一緒にクリスマスを過ごしましょう、健太もその方が嬉しいわよね？

健太：いいの？やった！本当に願いが叶った

サンタ：いいのか、私は父親失格だぞ

母：私だって完璧じゃない、だから何度でもやり直せばいいじゃない、あなたの帰る場所はここよ

サンタ：(涙を堪えて)ただいま

母：おかえりなさい

――――――――――――――

素直：良かったね

笑顔：本当に、良かった

素直：じゃあ私達もケーキ買って帰ろっか

笑顔：うん、あ！

BGM：雪

素直：雪…

笑顔：素直！空見て

本物のサンタクロース：ほーっほっほ、メリークリスマス

素直：わあっ、サンタさんだ

素直、笑顔：メリークリスマス！

SE：シャンシャンと鈴が鳴る

終わり