やっとの思いでたどり着いて、きちきち鳴っている電灯がお供している電柱の近くに座り、封を開いた。頭の中にはなぜか不安と焦りが渦巻いていた。中には、長い長い手紙が入っていた。


 ― 星が好きなあの子へ。


 こんばんは。あなたはこの手紙を読んでくれるかわかりませんが、最後にこれを書かないと気持ちが落ち着かないので書きます。あなたにこの手紙が渡ればうれしいですが、別に渡らないならそれでいいです。

 私は、あなたにいろいろなことを隠して、偽りの姿ばかり見せていました。夜という闇に乗じて、自分の嫌なところを隠していました。私、本当は学校に居場所なんてなかった。一緒に話して疲れる友達なんていなかった。ずっと一人でした。私はみんなと仲良くなりたいのに、周りに合わせるとか私にはできなくて。一人でいることがとても寂しかった。だから毎晩星を眺めて、心を落ち着けていた。星を見ると、心が落ち着くんだ。星を見ながら、カール・セーガンのペイル・ブルー・ドットのあの一節を思い出す


 「地球は人類の知る中で、生命を宿す唯一の世界だ。少なくとも近い将来、人類が地球外へ移住できるその時まで、私たちに行くあてはない。行き着くことは出来る。定住はまだ無理だ。否が応でも、しばらくは地球にいるよりない。」

 

そうだ、私はここにいるしかない。そう自分に言い聞かせた。だって、この広い宇宙に独りぼっちで放り出されるよりは全然さみしくないもん。いつかみんなと仲良くなれる。そう思って毎日過ごしていた。そんな中で、あなたに会った。 ―

 

 一つ一つの言葉が僕の眼から頭に刻まれていく。心ではなく、頭に刻まれている。彼女の言葉は、やっぱりまっすぐで、素直だったが、ここまで読むだけなのにかなり長い時間がかかった。

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