第29話ーメイメイは天使!?ー





「──さぁて、ご挨拶が遅れちゃったわねぇ、あ・た・し・が知恵と美の化身ソロモン・ジョリーアントワネットよぉん! よろしくねぇい☆」


 そう言うとソロモンは俺たちに向かって投げキスをした──、するとメイメイが少し右にズレた。多分、投げキッスを避けたのだろう──。

 【???/???】なるほど、ありとあらゆるステータス値を隠せるのだろう。カロリーもタンパク質も【?】になっている。


「あ・た・し・は、オネェ様の妹分のジュリアス・ロードよぉん。ジュリアンって呼んでねぇぃ☆」ジュリアス将軍は俺たちにウィンクをした。


 玉座の横にいたローブを着た──、身長は俺の腰くらいだろうか? だいたいメイメイと同じくらいだ。被っていたフードを外し俺たちに歩み寄り──。


「僕は、レザード・パレスです。一応、10賢者の1人です──とはいっても回復魔法しか使えないので何故、僕が賢者なのかが、わかりませんが──」


『──んもう、レザードちゃんったら〜! 顔がいいからよん。レザードちゃん可愛いいんですもん』ソロモン王が横から言った。


「──だ、そうです──、あははは」レザードは頭の後ろに手を当てて苦笑いをした。


 エルフ族だろうか? レザードの耳はシャルロットのように尖っていた。髪は銀髪、見た目は凄く幼い男の子だ──。【140000/9200】


「僕はエレイン・グランデ。オディナ大陸のシエーナ街から来ました」


「──シャルロット ・ハーティーです。同じくシエーナから来ました」


「私はメイメイある、秦帝国からおまえらの様なバケモノ退治を生業に──」俺は急いでメイメイの口を両手で塞いだ。「──もぐっ」


 ソロモン王は、じっとメイメイを見ていた──。怒らせてしまったのだろうか? やばい──。

 

 そう思った時、ソロモン王は手に持っていたセンスで見事に割れたケツ顎を隠して──。


「あらやだ! メイちゃん! あなたゲロ臭いわよ!? プリティな女子がそんな異臭を放っていたらダメ!!」


「──ゲップッ」メイメイはゲップで返事をした。


(──こ、こいつッ──どこまで舐めてんだ!?)


「んもうッ! 女子がそんなハシタナイ真似しちゃダメ! ジュリアン、メイちゃんとお風呂に入ってらっしゃい!」


「──なに言ってるアル!? あいつおっさんじゃねーか!! 絶対嫌アル、犯罪アル! 痴漢アル!」メイメイは物凄い勢いで首を横に振りまくって全力で拒絶した。


「もう〜いや〜ね。あ・た・しの心は乙女よん? さぁ、メイメイちゃん行きましょう。うっふ〜ん」


「絶対嫌アル! 変態アル! さわんな! ゲジ眉!」


「もう〜しょうがないわね〜。──アウラ──、アウラはどッこ〜?」


 ソロモン王は諦めて他の人を呼んだ──、すると「はい、おねぇ様」と、どこからかとても綺麗な声が聞こえた。

 入り口から入ってきた女性は、とても綺麗な腰まである長い金髪で──、目は切れ長で眠った様に細いのだが、とてもバランスが良く美しい。透き通る様な白い肌に真っ白なワンピースを引きずり、モデルのように細く、姿勢もとてもよくて、ピンク色のぷっくりとした唇に左目の下にある泣きぼくろが印象的な、完璧な美人が入ってきた。


「この子は男子のお世話係りのアウラちゃんよん。とっても美人でしょー? ──んもう、焼けちゃうわ〜」


「まぁー、オネェ様ったらお上手です事──、ウフフ」両手を唇に当て優しくアウラは微笑んだ。


「この子ならいいでしょう? メイちゃん、アウラとお風呂に行ってらっしゃい!」


「──行きましょう。メイ様、ここのお風呂はとっても広いのよ?」そう言ってアウラはメイメイと手を繋ぎ王の間を出て行った。


「あの子──、天使ね?」ソロモン王はメイメイの後ろ姿を目で差した。


(天使? 確かに見た目は可愛いらしいが……中身は悪魔に近い……)


「メイちゃん可愛いですもんね」シャルロットは頷いている。


「──そうじゃないわ、天使と言っても【精霊天使】よ。あの子はあたしの未来視に現れていなかったわ。少し運命が変わり始めているのね──」

 

「精霊天使?」


「あら──、知らない? あたしも見るのは初めてだけど──そうね。伝説みたいな物ね、精霊天使は──」


 ──精霊天使──

 大精霊と契約したものはその願いを果たすと魂と体は大精霊の物となり、未来永劫、輪廻もなく、全てを精霊に捧げる事になる。稀に大精霊の気まぐれでその生贄となった成分から精霊自身の記憶をかき消し精霊達の間で遊びとして精霊が人などに生まれ変わってくる事がある。これが精霊天使で、精霊天使は尋常ではない力をもって産まれてくるという。

 

 なるほど──だからメイメイのタンパク質量は今までに見た事もない数値なのか──。俺の脳裏には一瞬、ステラ王子とイフリートが頭をよぎった。


(もしかしたらステラ王子と契約したイフリートもどこかで転生しているのかな?)


「ところでエレインちゃん!? あなたも物凄い体してるわねぇ、見てジュリアン! この逞しく、いやらしい体!!」


「ホントだわぁ〜ん。まぁ、立派!!」ジュリアンとソロモン王の2人は俺の体をベタベタと触ってくる。


「こっちの方も──立派なのかしらん?」ソロモン王が俺の股間を握ってきた。


「──!?◇☆○×☆!?──」


「はわわわわわわッ」シャルロットが両手をバタバタしてアタフタしている。


「冗談よ──うっふん」

 ソロモン王は、ウィンクをして話を続けた。

「そろそろ本題に入るわね──、サイモンちゃん、まずは国勢を説明してちょうだい」


「はっ!」サイモンが前に出てきた。

「それじゃぁ兄弟、まずはアルスター大陸の国勢を説明しよか──」


 現在アルスター大陸のこのアルスター王国はジエンナ、ハロナ、サハンナ、そして港街ガリューべを統治していて、そのアルスター王国の反勢力として北にカサノヴァ王が統治しているバルバロッサ帝国が反乱軍とテロリストと手を組み睨み合っている状況下だった。

 我が国とて争えばとても大きな犠牲が出る。

 なんとか争わずに睨み合いが続いている状態を保っていたが──そんな中、南にいつしか見知らぬ巨大な黒い城が出現した。

 

 その出現した城に調査部隊を派遣をすると、その巨大な城は迷路になっていたという──、戻ってきた者と戻ってこなかった者は半々、しかし城を攻略できたものは誰もいなく──中には魔王四天王の1人ミノタウロスがいたという。


「ミノタウロス!? 神話の話じゃなかったのですか!?」シャルロットが驚いていた。


「ミノタウロスは神話のようなお話しになっているけれど実在する魔物──いえ、魔族よん。あたしが行って倒しちゃってもいいのだけどれも、カサノヴァがそこを狙ってるみたいなのよね〜。ほら、敵の敵は味方って言葉があるじゃない? カサノヴァはミノタウロスの迷宮城に攻め入るのを待っているみたいなのよねん」


「──実際、ねぇ様なら秒殺よねぇん。けれども中の迷路の攻略には大分時間がかかりそうなのよ〜。早くても3日……外から城をぶっ飛ばす事も試したのだけど全然、びくりともしないのよ〜。もうカッチカッチに黒くそびえ立っちゃってイヤシライわ〜ん」ジュリアスはそう言った。


 ソロモン王の相当な実力がこの会話からだけでもわかる。そしてそれに相対するカサノヴァ王も相当な力があるに違いない。


「そこで、あ・た・しの未来視であなた達が現れたのよん。メイちゃんの存在はなかったのだけれども──これまであたしの未来視が外れた事は一度もなかったのだけど──」


 ドゴーン! 突然王宮内に物凄い破壊音がなった。俺たちは何が起きたのかわからなく注視した。敵襲か!?

 

『てめぇーもキ◯タマぶらさげてんじゃねーかぁッ!!』メイメイの怒り狂った怒号が城中に響き渡った。


「あらぁん──メイちゃんお怒りねぇ〜。アウラちゃんみたいに綺麗なオカマでもダメだったのかしら〜」


(……いや、ダメだろ……)

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