死にたくなったら、どうするか。

 「死にたくなった時の対処法を教えてやろう」


 「ちょっと待って! 何で対話形式? 【】書きシリーズでも何でもないよ?」


 「わしゃ、神さまじゃ。お前に散々悪さをしてきた神さまじゃ。ようやく対話することが出来て、わしゃ嬉しいぞい」


 「頭が狂う一歩手前みたいになってる……」


☆☆☆


 と、まあ、冷静になりました。


 なんとなく対話形式で行こうかと、風呂場の中で考えていましたが、やっぱり、僕が、誰かに語り掛ける、地の文形式で行こうと思います。


 最近、自由なんです。自由になると物語が思い浮かびます。そうして、対話するかのような形式が、ふと思い浮かんでくるのです。自由と対話形式は、必ず何か法則があります。


 本題:死にたくなったら、どうするか。


 答え:今までで手に入れたものを、指折り数えてみる。


 これに尽きます。


 先ほどまで、生きててもしょうもないな、という無気力感に襲われていました。「できるだけ無欲で生きたいな」とか、考えていました。煩悩を捨て去って、機械のように生きればいいなと思ってしまいました。


 それで、そんな風にしか生きれないのなら、近いうちに死んだ方がよくないか? という、孤独に生きている人あるあるの考えに陥りました。


 まあ、実際、生きてても無意味ではあります。私はいてもいなくても変わらないようなそんな世界線に生きています。


 というか、誰だろうと、いつかは死ぬのです。死ぬときに、葬儀や通夜など、生きている人に仕事をさせてしまうような制度にしたのは、宗教の偉いところだな、と感じます。多分、死ぬことで、生きている人の仕事を増やすような仕組みではなくては、人は簡単に死を選ぶでしょう。特に充実している人ほど。これ以上充実のしようがないから、死を選ぶ。


 話が脱線しました。

 「死にたくなったら、今までで手に入れたものを数えてみろ」というのを言いたかったわけです。死んだら人に迷惑がかかる、とか考えている人は甘いです。そういう人ほど死を選ぶ可能性があります。自分のために生きましょう。


 「自分のために生きる」なかで、「死にたい」と感じるときは必ずあります。その時の対処法として、もう三度目の発言になりますが「手に入れたものを指折り数えてみろ」というのが対処法になります。


 具体的に。

 私の場合。


「kindle oasisに読んでない本が数百冊ある。大学生時代から使い続けているウォークマンがある。障害年金の受給権をまだ持っている。仕事に就いていて、安いけど、やりがいも薄いけど、給料も少しはある。大学時代に買ったキーボードがあって、何かを書くという、誰かに伝えたいと願うやりかたが今、できている。親がある程度家事をしてくれていて、自分に自由な時間が結構ある。テレビをつけたら北京五輪が行われていてフィギュアスケートの男子の最新の演技を見ることもできる。おいしい食事もある。暖房もついている。お風呂も暖かかった。お風呂に入っている時間は一人で自由にものを考えることができている。統合失調症の幻聴もだいぶ良くなった。世界中が暗号に見えた数年前とは大きく症状が改善している。夜に眠れるようになった。朝に起きるのはきついかもしれないけど、仕事に遅れたことは一回もない。世の中は新型コロナという未曽有のパンデミックに遭遇していて、私は毎日マスクを着けて生活をしている。そして、それは、私もまた、世界の歴史の上に立っていることを証明している。大学では哲学をやった。それで大半の本は、本を厚くするために適当な文章を集めているに過ぎないことを知っている。サルトルも読んだ。カミュも、キルケゴールもヤスパースも西田幾多郎もハンナ・アーレントも読んだ。西尾維新にも出会えたし至道流星にも出会えた。マンガだって読んだし、大学時代は古書店を満喫しまくった。だから、良い本とはどんな本なのかを知っている」


 手のひら二本では、数えきれないほどの「私が今まで手にしてきたもの」がありました。中には「経験」もありまして、その「経験」は、もう戻れない過去ではあるのですが、時代が変わり電子書籍である程度の本が読めるようになった今、これから先、ハンナ・アーレントやキルケゴール全集だって、電子書籍で読めるようになる可能性はあります。死なずに待てばいいのです。


 「死にたい」と思うことは誰にでもあるし、私もしょっちゅう思います。これは病気ではなく、統合失調症になる前から、ツイッターで匿名で「死にたい」とばかりつぶやいていました。統合失調症になってからは「死にたい」とつぶやくのが罪のように思えてきて、つぶやくのをやめましたが、それでも「死にたい」と思うときはあります。


 「死にたい」と思ったら「自分が手に入れたもの」を思い返してみましょう。そして、「自分が手に入れたもの」を使ってみましょう。手に入れると希少さが薄れてしまいますが、手に入れたものを使っていると、そして、使い続けていくと、人生は思いもかけない方向に進んでいくと思いますよ。


 「死にたい」と思ったら「自分が手に入れたもの」を思い返してみましょう。

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